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2023年4月の読書まとめ

読書数

読書数トータル---18冊

  • 紙の本---10冊

  • Audible---8冊

  • Kindle---0冊


ひとこと

今月読んだ本で一番印象に残っているのは、葉真中顕さんの『ロスト・ケア』でした。詳しい感想は後述します。
また、まるごと一冊辻村深月さんのムック本『Another side of 辻村深月』は、辻村さんの初期の作品の良さを知る良いきっかけになりました。早速、デビュー作『冷たい校舎の時は止まる(上)』を読みました。まあデビュー作だし…と、あまり期待しないでいたのですが、すごく完成度が高くてビックリです。下巻を読むのが楽しみ。そして、その後の作品もどんどん読んでいこうと思っています。
村上春樹さんの新作『街とその不確かな壁』は、まだ最初の方しか読んでいませんが、たまたま2月に再読した『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の続編のような作品で、テンション上がりました!これから読まれる方は、『世界の〜』のあらすじをチェックしてから読むことをオススメします。


今月読んで良かった本8冊の感想(読み終えた順)

真珠とダイヤモンド 上・下 桐野夏生

バブル時代を生きた若い男女3人の物語。
20代の彼らが築いた砂上の楼閣と、そこからの凋落の顛末が、それぞれの視点で語られています。
上下巻に分かれた長編ではありますが、会話文が多くて読みやすく、思ったよりも速く読めました。
読み終えてから上巻の内容を思い返すと、すごく昔の話に思えるのですが、ほんの数年の出来事なんですよね。
バブル時代って短いですが、すごくインパクトがあった時代だったのだなと思います。
その時代の空気感、危うさ、脆さなど、うまく表現されているなと感じました。面白かったです。

君はなぜ、苦しいのか 石井光太

日本の精神的幸福度は、先進国の中でワースト2位だそうです(ちなみにワースト1がどこか気になったので調べたところ、トルコでした)。
その原因となる歴史的背景、社会的背景、いじめはなぜ起きるのか、などについて、具体的な事例や俯瞰的なまとめを盛り込みつつ紹介している一冊です。
差別やいじめはどこの国でもあるし、暴力が顕在化していた時代からネットいじめの時代に移っている事なども日本だけではないはずですが、人と違うことに対する反応(同調圧力)が日本ならではの背景なのかなと思いました。
子どもの自殺は無くなって欲しいです。

ロスト・ケア 葉真中顕

映画化で話題の作品。
人間の尊厳とは何か、人の原罪とは何か、人を死なせる事はどんな状況でも罪なのか?そんな問いを読者に次々とたたみかけてくるような一冊でした。
視点人物のうちの1人、検事の大友を、最初は『この人おめでたいなあ』と思っていたのですが、話が進むにつれて、安全地帯から綺麗事を言う大友を『この考え私と同じ?私っておめでたいサイドなのかも』と気付かされました。
原作では男性の大友役は、映画では長澤まさみさんが配役されていて、どんな感じか気になります。
データで謎を解き明かした椎名が陰の立役者だと思いました。

静かな人の戦略書 ジル・チャン

着眼点が良いですよね。日本人には非常に参考になる一冊だと思いました。
陰キャ・陽キャなんていうのもあるけれど、内向的・外向的という翻訳の言葉のチョイスが素敵。
本書のチェックリストを試したら、私はやや内向的ではあるけれど、完全な内向的ではないみたい。
外向的な人に比べて実力を下に見られがちな内向的民ですが、SNSを活用するとか、準備をしっかりするとか、実力をしっかり判断してもらえるような対策がたくさん紹介されていました。
スピーチは雑談より簡単、というのは確かにそうかも。
伸ばしたい本質的な技術をしっかり磨くべし。

地下図書館の海 エリン・モーンゲンスタイン

独特な世界観を持った作品でしたが、面白かったです。
少年時代に本の世界の扉を開け損ねた大学院生が、冒険に出るお話。
以下の全てに該当する方にのみ、この本をおすすめしたいと思います。
①心の底から本が好き
②本の中でもファンタジーが好き
③上下二段組みの単行本を開くとわくわくする
---いかがでしょうか?
不思議の国のアリス、ナルニア国物語、ハリー・ポッターシリーズ、はてしない物語、指輪物語、私が気づいていないだけで他にも色々あるかもしれないのですが、数々のファンタジー作品へのオマージュがそこここにあり、楽しかったです。
映画にしろ書籍にしろ、邦題がイマイチで、なぜに?と思うことが多いですが、この本に関しては、邦題の方が良いと思いました。原題は『Starless Sea』なのですが、邦題の『地下図書館』というワードは本好きが引っかかるフックになるなと。私もその一人でした。

コロナ利権の真相 鳥集徹

来月ようやく5類になり、終焉を迎えるコロナ禍ですが、結局なんだったのか?と手に取ってみた1冊です。
ニュースソースが主にTVの報道番組なのが気になりましたが、ワクチン特需、病院の空床補償、給付金詐欺や不正受給、飲食店協力金などなど、コロナ関連の税金の使われ方についてよくまとめられていて、わかりやすかったです。
血税という言葉は好きではないけど、言いたくなる気持ちがわかります。
いつの間にか製薬会社が大手スポンサーになってしまっていて、民放の番組ではなかなか言えないことが多くなっているんだろうな、とも思いました。

Another side of 辻村深月

辻村深月さんのこれまでの作品や対談、文庫解説などをまとめた一冊。
私は『東京會舘と私』あたりからコンスタントに辻村作品を読み始めたのですが、この本のおかげで、それ以前の初期の作品の評価もすごく高いようだ、とわかったので、早速デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』を図書館で借りてきました。
他にもたくさん読みたい過去作品がたくさんあるので、今年は『辻村深月年』にしようかな。楽しみが増えて嬉しいです。
作家としてこうありたい、こういう人々に向けてこういうものを書きたい、というのがきちんとある方なのだなと思いました。


今月読んだ本一覧

  • 人生ってなんだ 鴻上尚史

  • 真珠とダイヤモンド 上 桐野夏生

  • 真珠とダイヤモンド 下 桐野夏生

  • カラスの親指 道尾秀介

  • 犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 出口保行

  • 君はなぜ、苦しいのか 石井光太

  • ロスト・ケア 葉真中顕

  • 人生オークション 原田ひ香

  • 静かな人の戦略書 ジル・チャン

  • 私と街たち(ほぼ自伝) 吉本ばなな

  • 日本が先進国から脱落する日 野口悠紀雄

  • 地下図書館の海 エリン・モーゲンスタイン

  • コロナ利権の真相 鳥集徹

  • 犯人に告ぐ(上) 雫井脩介

  • 夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

  • Another side of 辻村深月

  • 私たちはどこで間違えてしまったんだろう 美輪和音

  • 冷たい校舎の時は止まる(上) 辻村深月


今読んでいる本

  • 頭がよくなる思考術 白取春彦

  • 街とその不確かな壁 村上春樹

  • チーム 堂場瞬一

  • 赤い月の香り 千早茜

  • こどもホスピスの奇跡 石井光太


来月に向けて

5月は、楽しみにしているゲームソフトの発売も控えているので、読書は全然捗らないことが想定されています…。ですが、Audibleなども活用しながらマイペースで読書していきます。
村上春樹さんの『街とその不確かな壁』は600ページ越えの鈍器本ですが、5月中には読み終えたいです。

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