2023年5月の読書まとめ
読書数
読書数トータル---20冊
紙の本---12冊
Audible---8冊
Kindle---0冊
ひとこと
毎月18〜20冊読む中で、☆5または☆4(5段階評価)と思う本はだいたい8冊ぐらいのことが多いのですが、今月は10冊と当たりが多かったです。
たくさん読めば当たり外れがあるのは承知しているけれど、当たりは素直に嬉しい。
小説も好きなものが多かったのですが、フィクションでないところでは「運動脳」「こどもホスピスの奇跡」が特に良かったです。
楽しいだけでなくて、自分の世界の外側への扉を開けてくれる、それが読書だなと思います。
4月から読んでいる、村上春樹さんの『街とその不確かな壁』は、読む半分ほどまで進みました。面白いです!これも当たり。
今月読んで良かった本10冊の感想(読み終えた順)
チーム 堂場瞬一
久しぶりにスポーツを題材にした本を読みたいなあ、と思っていた時に出会った本です。
箱根駅伝の学連選抜チームを題材にした物語。
正直、学連選抜って全然応援されていないイメージ…。
団体戦で敗れてしまった各校のエース達が組んでいるので、他のスポーツならば、選抜!代表!と崇められるはずだと思うのですが、箱根駅伝の応援は各大学への愛校心のぶつかり合いなので、そのテンションからは外れてしまっている存在ですよね。
そんなチームで様々な思いや事情を抱えて走る若人たちの心理描写が、瑞々しく描かれていました。
爽やかな作品でした。
赤い月の香り 千早茜
直木賞受賞作『しろがねの葉』は、正直そんなに好きな作品ではなかったのですが、受賞後第一作である本書は一転、とても私の好みの作品で驚きました。
香りに関する特殊能力を持つ人物『朔』と彼と彼の作り出す香りに魅了されていく『満』の物語。
今、感想を書いていて気づいたのですが、朔も満も月に関する漢字ですね。
ストーリーは一応の終焉を迎えはしましたが、2人の関係は今後も持続出来るものと思えるので、是非シリーズ化して欲しいです。
文章だけで美しい情景が思い浮かぶけれど、映像化しても面白そう。
連続ドラマに向いている作品だと思います。
運動脳 アンデシュ・ハンセン
この本を読んだら、絶対運動しよう!って思う事間違いなしの一冊。
週に2〜3回、30分ぐらい、ランニングなど心拍数が最大になるような運動をする、それだけで、メンタルヘルスが改善され、集中力がアップ、創造性や記憶力もアップし、もちろん健康寿命も長くなる、という事です。
先日『コロナ利権の真相』という本を読んだ時にも思ったのですが、製薬会社が作り出す世の中の闇って確実にあるなあ、と思いました。
この本に書いてある事が100%正しいかどうかわからないけれど、適度な運動が身体に悪いわけはないので、生活に取り入れたいです。
こどもホスピスの奇跡 石井光太
タイトルから予想した通り、もちろん涙なしに読むのはとても無理でした。
難病や重い病気を患った子ども達のために、自分たちに何が出来るのかを考え、『TSURUMIこどもホスピス』の設立・運営に携わった人々のドキュメンタリーです。
子どもたちの生そして死を目の当たりにして、命が消えゆきそうな子どもに、懸命に生きようとしている子どもに、周りの人々が与えられるものは何なのか?社会が与えられるものは何なのか?考えて行動する人たちの闘いが綴られています。
『深く生きる』という言葉が印象に残りましたが、私には何が出来るかな。
青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏 伊与原新
『オオルリ流星群』が良かったので、こちらも読んでみましたが、爽やかな読後感で、さらに好きな作品でした。
花巻を舞台に、高校生たちが『地学部』を立ち上げて活動を始めるという物語なのですが、主な登場人物の3人とその家族には、それぞれ意外な過去があり、その事が地学部創設にも密接な関わりがあるーよく練られた筋書きで、綺麗にまとめられていました。
やや綺麗過ぎるといえば過ぎるかもしれませんが、スッキリしていて私は好きです。
宮沢賢治の作品、特に『銀河鉄道の夜』のあらすじは知っておいた方が良いかも。
私は詳しくないですが…。
クワトロ・ファルマッジ 青柳碧人
小さなピッツェリアを舞台に、突然起こった殺人事件をめぐる、ブラック・コメディ。
さくっと読めて面白かったです!
第一章と第二章は、4人の視点人物が同じ場面を語るので、やや冗長な印象でした。
えー、そのセリフ4回目じゃん…などと思いつつ読み進めましたが、展開が気になる後半以降はテンポよく進んで、色々な伏線もすっきり回収。
深いテーマ性などはなく、とんでも設定やおもしろ展開を楽しむタイプの作品とこころえ、楽しみました。
読後感も良かったです。
とにかくピッツァマルゲリータやクワトロ・フォルマッジが食べたくなる一冊です。
冷たい校舎の時は止まる 辻村深月
上下巻通しての感想です。
辻村深月さんデビュー作。デビュー作?これが?言われなかったらわからないぐらいの完成度の高さを感じました。
高校生達の群像劇で、一人ひとりの過去・現在・未来を丁寧に描いています。
丁寧過ぎて、上巻の後半から下巻の最初あたりまで若干、話が停滞気味でしたが、ミステリー要素もあって、謎の解決ぶりも鮮やか。
伏線もキッチリ回収されて読後感はスッキリでした。
辻村さんの、登場人物一人ひとりへの愛を感じる作品。
もう既にたくさんの人々に読まれていると思いますが、これからも皆さんに知って欲しいと思いました。
それでも旅に出るカフェ 近藤史恵
前作があると知りつつも、最近刊行されたシリーズ2作目のこちらから読んでみました。
こんな素敵なコンセプトのカフェが実際に近くにあったら、私も通ってしまいそう!
聞いたことのない珍しいメニューがたくさん出てきて、それだけでも楽しいし、雰囲気だけでも素敵な小説。
なのですが、しっかりテーマ性もあって、コロナ禍の息苦しさや、女性たちが感じている違和感や辛さなども描かれていて、しかも片側の意見だけを通そうとしない結末で、こういう感じ方もあるのよね、とそっと優しく教えてくれる、そんな本でした。
1作目も読んでみようかな。
ウェルビーイングビジネスの教科書 藤田康人
ここ1〜2年よく聞くワード『ウェルビーイング』。
心と体の健康、社会との繋がりが、それぞれの幸せに繋がり、実現するのがウェルビーイングですが、マーケティングに活かしていくにはどうしたら良いか?というヒントをくれるビジネス書です。
私は企業のマーケティング担当ではないのですが、興味があって読んでみました。
特に前半は、昨今の世界的なトレンドが『ウェルビーイング』というキーワードからよくまとめられていて、わかりやすいです。
なるほど最近よく目にするあれはそういう流れから発生しているのか…という気付きが多々ありました。
嫌いなら呼ぶなよ 綿矢りさ
コロナ禍で色々こじらせてしまった、困った人たちの内面を顕した短編集。
私は純文学はあまり好きではないのですが(『嫌いなら読むなよ』って言われそうだけど)、こちらはとても面白いと思いました。
SNS、整形、老害、不倫と、現代人の心の闇が巣食いやすいテーマが扱われています。
特に、不倫男が主人公の表題作『嫌いなら呼ぶなよ』は、本気でムカついてくるぐらいに、本当にクズ男の考えそうな事が書かれていて、リアリティがありました。
老害がテーマの『老は害で若も輩』は、年齢でなく感覚が老いていれば老害というのが鋭いと思いました。
今月読んだ本一覧
チーム 堂場瞬一
赤い月の香り 千早茜
運動脳 アンデシュ・ハンセン
4月1日のマイホーム 真梨幸子
こどもホスピスの奇跡 石井光太
青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏 伊与原新
クワトロ・フォルマッジ 青柳碧人
冷たい校舎の時は止まる(下) 辻村深月
それでも旅に出るカフェ 近藤史恵
チームII 堂場瞬一
ウェルビーイングビジネスの教科書 藤田康人
オンガクハ、セイジデアル ブレイディみかこ
大脱走 荒木源
この世の喜びを 井戸川射子
犯人に告ぐ(下) 雫井侑介
答えは市役所3階に 辻堂ゆめ
「バイアス社会」を生き延びる 中野信子
すべて真夜中の恋人たち 川上未映子
嫌いなら呼ぶなよ 綿矢りさ
ボタニカ 朝井まかて
今読んでいる本
頭がよくなる思考術 白取春彦
街とその不確かな壁 村上春樹
夜の道標 芦沢央
今宵も喫茶ドードーのキッチンで。 標野凪
仕事と人生に効く 教養としての紅茶 藤枝理子
来月に向けて
6月は、中旬に上半期直木賞ノミネート作品の発表があるので楽しみです。また候補作品を読んで、受賞作予想をしたいと思います!
5月に読み終えるはずだった村上春樹さんの小説は、今月こそ読み終えるつもり。
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