自身を把握する

いつもお世話になっている「はんこ絵師カピ子」様の記事を拝見し、カピ子様の場合は、事の次第と、事例に伴う対策等どなたにも役に立つ情報を書かれていることに敬服しました。一昨年私自身に起きたことなど、元ブログより転載しますがお役に立てる内容では御座いません(^▽^;)。


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面倒な世の中である。個人情報云々も、SNSの台頭とともに面倒な扱いになった。権利だなんだと言いながら、
「便利」
と喧伝する陰で、個人情報をいちいち入力、署名したりすることばかりだ。更に念を押すように、いちいちパスワードも設定させられる。そこが済んでも
「セキュリティを万全にするために」
二重認証設定、ロックの種類など決めねばならない。桁数も増えて行くばかり。

キャッシュカードの暗証番号は4桁だが、誕生日はご法度になり久しい。では、家族の・・・と思うと、家族構成などは登録住所などでとっくに向こうに把握されており、配偶者や子供の誕生日をヒントにしたものも設定できない。テキトーに考えた4桁でやっと申し込みが出来る。

とはいえ、その時は覚えているつもりでもいざとなると失念する人は多い。特にお年寄りに多い。結果窓口に血相変えて来る。噛みつかんばかりの勢いで来る。そこで、再発行や喪失手続きのために届けを出す段になると更に面倒になる。

お年寄りは手が震えるのだ。何枚も書損する。
励まして何枚も書いてもらうが、怒りだす人も多い。しかし決まりなのである。自分を守るための・・・ってホントかよと、応対しながら思ったものだ。

「誰でもない、自分は自分なのに何で自分の預金を下ろすのにこんなに・・・」

と血圧が上がって倒れやしないかヒヤヒヤとなる。帰る頃にはぐったりしているお客さん・・・・。

過去の仕事柄、そういう現実を経てきたためか、同じような夢を見ることが多いのだが、キャッシュカードの4桁など可愛いものだ。

簡単決済なども、簡単にするまでの道のりは果てしない。近頃のハスワードは英数織り交ぜて6桁とか8桁が普通である。
しかも、覚えているものを設定しようとすると

「既に使用されています」

と弾かれる。何でわかるんだよ、私しか知らないはずなのにとイライラする。

きちんと入れたつもりでもどうしても駄目だ。よく見ると、英数(小文字)だ。Caps Lockをかけたのは誰だ、猫がキーボードの上を歩いたためだ・・・。

2年前に息子夫婦に励まされつつスマホに替えたのは、過去に記事にしている。あの時もいろいろいちいち設定した。

Microsoft

Google

Yahooその他、メールアドレスや電話番号、そしてパスワード。

あれやこれや便利なアプリをインストールしろと出てくるが、それもいちいち設定だ。

Googleと同期するとナンタラ…同期とは何ぞや、動悸息切れが気になるこの頃なのに・・・。

わからなくなるので紙に書いた。アナログだ、これが一番安心である。

で、10月の事。久しぶりに出かける用事があり、ふと、
「スマホを忘れたりしたら困るから、画面ロックの設定をしよう」と思いついた。いや、別に忘れものはしないどころか、人の分まで準備して完璧を心掛け、期して来た人生だが、その時は何となくそう思った。

夫が自分のスマホにロックをかけていて、それは
「パターン認証」
というのだが、こういうのね。

    

パターン


点と点を何回か結ぶのである。夫のはごく簡単なパターンなので、私も何となく設定した。そして数刻過ごして帰宅した。忘れものもなく無事だった。

ひと息ついてスマホを見ると何かお知らせが来ている。が、開かない。そうだった、パターン設定したんだった。
で、私はそのパターンをとっくに失念していたのだった。

ごく簡単なものだったはずだ。
しかし、なぞる順番が違うと同じパターンになってもロックは解除されない。

何回か失敗すると

「○○回解除に失敗したので、○○分後に再度お試しください」

慌ててPCで
「スマホ パターン 解除」
で検索すると殆どのスマホは一定回以上間違うと本当にロックがかかり、ショップに行かないとダメと書いてある。

なのに、私のスマホはどうしたわけか何回失敗しても本格ロックにはならず、再チャレンジまでの時間がどんどん長くなるだけである。

機種によりエンエンと繰り返されるのもあるという。ではどうしたらよいのか・・・。

「出荷時の状態に戻します」

それはどうやってやるのか。

「ショップでの対応になります」

・・・。

諦めの悪い私は、夜中じゅう再チャレンジを試みた。紙に書いて、同じ轍を踏まないようにもした。
そもそも3回なぞるだけだったのに・・・だったよな・・・と怪しくなる。なんでくだらないことを思いついたのだろうと情けなくなるばかり。猫たちは律儀で、ベッドにはいかず私の近くで寝息を立てている。

途中で夫が寝ぼけながらトイレに起きてきて
「まだやってんの?」
と寝ぼけた声で言って、またベッドに潜り込んだ。

そもそも夫がロックをかけているのを見たから思いついたのだが、彼はなんでロックをかけるのか。
私に内緒の変なサイトを閲覧しているのか!!!
などとあらぬ方へ脱線しがちになるのも情けない。

「悪い事をする奴が絶えないから、こういう面倒を強いられる」
と悪いヤツを呪ってもなににもならない。

万策尽きて朝を迎えた。

PCから契約先のショップにメールで用件と問いあわせを書き、来店予約をしたいと伝えた。
朝7時なので当然まだ開いていない。どんよりしていると、PCに返信があり、
「本日15時でしたら空いております」
「行きます、宜しくお願いいたします」

まだ10時なのに腰が浮いているのだった。

「情けない・・・この私が・・・」

クヨクヨしてしまう。しかも誕生日のすぐあとの事で

「チクショウ、年を取ったと言いたければ言え!。・・・それにしてもこれからの一年はろくでもないことになりそうだ」

口には出さねど、暗澹としてしまうのが益々情けない。

時間になりドロドロと出かけた。すぐ案内され、対応してくれたのはYちゃん (嫁さん)くらいの若い女性でとても懇切丁寧だった。

「メーカーに送ることになります。データもSDカードにあるもの以外は消えてしまいます」
と気の毒そうに言う。仕方のないことだ。そもそもスマホを使いこなしていないからこういうことになるのであり、データといっても出かけているわけでもないので猫たちの写真くらいしかない。連絡先やもっと古い写真など、前の前の前の携帯からずっと引き継いできたものは残るというので覚悟を決めた。

「こちら、安心サポートプランにご加入いただいたているので費用は掛かりませんが、一週間ほど時間をいただきます。大丈夫でしょうか?」

スマホに替える時は上ずっていたので、どのプランだか知らぬがちゃんと契約していたらしい。
「さすが私」

意味不明な自信を取り戻すアホウである。

女性が「少々お待ちください」と席を離れ、ややあって戻ると
「返ってくるまでこちらをお使いください」
と、今使っているものと同じスマホを出して来た。

「え、良いんですか?」
「はい、お使いください。これもプランに入っていて料金はかかりませんので安心して・・・」
「・・・ありがとうございます!!!」

常日ごろ、自分の事で人様を煩わせるなと心掛け、人にも語っているのだがこの体たらくである。ある程度の費用が掛かるものと、財布になけなしのお金を入れて行ったが無料だという。

手間隙と時間を人様にかけさせ、それが相手の仕事だと言う気には私はなれない。取り敢えず駆け込み、まるで物に非があると騒ぎ立てるのは厳に慎まねばならない。殆どが、使う側がわかっていないまま手を出したが故の事なのである。

女性は
「すぐ使えるようにこちらで設定して行かれたほうが・・・」
と勧めてくれる。様々なアカウント情報が書かれた紙は、スマホのケースに小さく折りたたんで入れてある。

「これなんですが・・・」
と差し出すと
「字がとてもお綺麗ですね」
なんて言われ、天にも昇る気持ちになった私はやっぱりアホウで、一週間後スマホは戻って来て、引き取りに行った時も実に丁寧な対応 (金を一銭も落としていかないにもかかわらず) で私はつくづく反省したのであった。

せめてものお詫びに、マップの口コミにショップの評価5を付け、懇切丁寧な対応に感謝している旨口コミを書いた。

そういえば最初の大型家電量販店内の、スマホのスタッフも実に素晴らしい対応だった。
え? スマホのロック?
そもそも見られて困るようなものもないし、入れたアプリもありきたりのもの、ゲームなどはパズルだけであるので、あとは落として壊したり、不具合が出ないよう大事に使うだけである。

そして私は数日前、パーソナルノート(いざというときのために)というのを100均で購入した。

後に残る人たちを煩わせてはいけない。長生きしてもボケたら聞かれても答えられないからだ。

鬱々とした秋がこうして過ぎて行ったのだった。


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