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子どもの話、聞けていますか?




1.ダブルバインド

小さい頃よく母に、「先々のことをよく考えて行動しなさい」と言われていました。

自分でよく考えて行動しても失敗することがあります。うまくいかないと「だから言ったでしょ」と母。
この「だから言ったでしょ」という言葉、私、嫌でした。

「お母さんはこう思う。お母さんのほうがきっと正しいよ。」
「あなたがそう思うんだったら、そうすればいい。」
「でも、心配。お母さんのいう通りにすればいいのよ。」

一見、「あなたの好きにしていい」と言っているようだが、母の表情、声のトーンから感じるコントロール。自分で判断して行動して失敗したら、また「だから言ったでしょ」と言われてしまう。かといって、母の意見に納得できない。子どもの私は判断に迷う。完全なダブルバインド。

ダブルバインドとは、言っていることと、やっていることが違うという矛盾により、どちらの選択肢を選んでも罪悪感や不安感を感じてしまう心理的ストレスのこと。

ダブルバインドで自分の意見や行動を否定され続けていると、子どもはどうしていいか分からなくなってしまいます。自己肯定感が低下し、自分で考えることをあきらめてしまいます。

「どうせ自分の意見は聞いてもらえないし、言ったところで否定されるなら黙って親の言う事を聞いていればいいんだ」、「失敗したら親のせいにすればいいんだ」と子どもの私は、心の中でふて腐れていました。


2.大人になって

さすがに親から意見されることは少なくなったけれど、自分の中に『厳しいオカン』が住みついており、頭の中にちょくちょく登場してくるのです。

「よく考えて行動しなさい」、「本当にそれでいいの」、「やめといた方が良いんじゃないの」、「あなたには無理」、「だから言ったじゃない」などと頭の中で、ごちゃごちゃ言ってくる感じ。

決めたいことも決められない。進みたいのに進めない。自分的にはいっぱい考えているようだけれども、グルグル思考の無限ループ。
問題解決にたどり着けない。もう面倒だから、「周りに合わせておけばいい」で終わらせる始末。時間を無駄につかい、最終的に自分の足を引っ張る。

こんな感じだから、自分で人生の舵取りできない。生きづらさを感じながら、「人生なんてこんなもん」と半ばあきらめモード。心の中の『厳しいオカン』を横目に見ながら、もういいや…と思っていました。


3.私は毒親

子育ての仕方、価値観は親から子に、子から孫に代々引き継がれると言われています。いわゆる世代間連鎖。私自身、自分の親のように子供への過保護・過干渉はやめたいと思い意識して育児をしてきたつもりでした。

しかし、やらかしていました。前述のダブルバインド然り。子どもは親より物事を知らないので、教えてやらなけばならないという上から目線。それでいて自分はちゃんとした親だと勘違いも甚だしい。完全に毒親と化していました。

このことに気付かせてくれたのは、『ゼロ秒思考』の著者である赤羽雄二さんです。偶然聴いたVoicyが最初の出会いでした。印象的っだったのはビジネス界で活躍されている赤羽さんが子育てについて話されていること。

そして、特に下記の言葉が胸に刺さりました。

・「よかれと思って」親がやることは子どもにとっては余計なお世話。
・親は子どもの話を最後まで聞かないことで、子どもを傷つけている。
・他の大人にやらないことは子どもにもやらない。

自分が子どものころ親に対して嫌だと感じていたことそのものでした。それなのに、親の育て方をしっかりコピーしている自分に愕然としました。


4.自分育て

よく「子育てしていくうちに親も成長するもんだよ」というセリフを聞くことがあります。私、「へ~、そうなんだ~」くらいにしか思っていませんでした。子どもが不登校になるまでは…。

子どもが不登校。私は毒親。子どもを健全に育てられない自分。自分自身を生きていない感覚が問題の根っこにあるとは薄々、気づいていました。
でもどうしていいか分からず途方に暮れていました。

勇気を出してVoicyで赤羽さんにコメントを送ってみました。その後、Clubhouseを通し相談にのって頂き、半年前にはオンラインサロンに入会させて頂きました。

ぐらついている自分の根っこをどうにかしたい。自分を育てなおしたい。オンラインサロンで学びながら、まさに「子育ては親育て」ということを実感している最中です。


5.A4メモ書き

赤羽さんが提唱されている「A4メモ書き」は、A4の紙に1件1ページ、1分以内に頭の中にあることをどんどん箇条書きします。思考と感情を言語化することで、思考が整理され頭がよくなり、悩みもなくなり、心もすっきりするというもの。

私はグルグル思考の常習者。そのせいで行動を起こせない人でした。しかし、A4メモ書きを時々休みながらも続けていく中で、悩んでただ嘆くのではなく行動を起こせるようになってきました。滞っていた人生の流れが、チョロチョロと流れ始めた感じです。

問題の本質は何か、A4メモ書きで探っていくことで、解決策は見つかると思えるようになると、以前のあきらめモードや『厳しいオカン』も影を潜めました。もし、また現れてもメモ書きで書き出せばいいだけのことです。

また、最近は直観を信じられるようになってきました。A4メモ書きで私の頭の中に、新しい思考回路が出来たみたいです。『0秒思考』とまではいきませんが、以前より早く判断できるようになったり、行動できるようになりました。

よっぽどの天才でない限りは、直観は天から降りてくるものではなく、思考のトレーニングによってもたらされるもののようです。


6.アクティブリスニング

赤羽さんが提唱されている中に、アクティブリスニングがあります。
詳しくはご著書、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』に詳しく書かれています。

アクティブリスニングは、ただ傾聴するのではなく、相手に関心を持ち、徹底的に話を聴きながら、質問をすることで深く理解するというものです。それによって相手に信頼され人間関係が良好になります。また、問題の本質をつかみ、解決策を得ることができます。

特に親が子どもにアクティブリスニングすることは、子どもとの関係回復に直結します。毎日20分、子どもと1対1で向き合い、アクティブリスニングを行う親子のクオリティタイムをもつこと赤羽さんは勧められてられています。

子どもの都合もあり、なかなか毎日は出来ないのですが、できるだけ取り組んでみました。その結果、不登校の子どもが少しずつ、元気を取り戻してきました。一年前は「生きていたくない」と無気力でしたが、最近は将来について話したり、自発的に勉強に取り組むようになってきました。

私自身、アクティブリスニングをしていくなかで、子どもの印象が変わってきました。子ども自身が変わったというよりは、私の捉え方が変わったのだと思います。

以前の私は、理想という眼鏡越しに子どもを見ていました。見たいものしか見ていなかった感じです。子どもと真剣に向き合う中で、その眼鏡がいつしかはずれ、子ども本来のありのままを見ることができるようになってきたのだと思います。

今まで、ありのままを受け止めてあげられていなかったことを後悔しました。本当に子どもには申し訳なかったと感じています。


7.さいごに

赤羽さんに出会ってから、子育ての意味を間違えていたことに気づき、意識が変わりました。というかひっくり返りました。私の場合、子どもが不登校になりサインを出してくれたことで、自分との向き合い方、生き方まで見直すチャンスを得ることができました。

今、不登校の子どもが増えています。それぞれ理由は違うと思います。解決法もそれぞれだと思います。しかし、子どもに安心安全な場を親が提供することが基本中の基本。

不登校の根底にあるのは子ども自身の不安や怒り、悲しみ。カチコチになってしまった心を解きほぐすのはアクティブリスニングだと思います。親の思考も社会通念、固定観念で凝り固まっているとアクティブリスニングは難しいです。親自身が自分の親からコピーしてしまった子育ての仕方を疑ってみる必要があります。

あなたは、子どもの話を最後まで聞けていますか?
子どもの話、遮っていませんか?
「良かれ」と思って余計なことしていませんか?
ダブルバインドとか子供にしていませんか?

私たち親世代は、考え方、ものの見方をアップデートする必要に迫られています。さあ、一緒にA4メモ書きで、思考トレーニングをしつつ、子どもの話を真剣に聞き、信頼関係を取り戻すことから始めませんか?
不登校解決の突破口が見えてくるかもしれません。

我が家の不登校問題は、現在進行形ですが、少し光が見えてきたと感じます。私も悩まなくなったし、子ども自身も元気です。

もちろん、不登校に関わらず子どもたちが、将来いきいきとした大人に成長してもらうためにも、アクティブリスニングはとても大切だと思います。








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