【#14】リハビリ病院編 その7
今回は僕の身体以外の後遺症について書こうと思う。
僕には高次脳機能障害が残った。
•注意障害
•記憶障害
•左半側空間無視
退院後に発覚したものもあったが入院中は特に左半側空間無視が凄かった。
端的に言うと左側の認識が出来ない。
見えてないの?って彼女に聞かれた事もあったけど、目では見えてる。けど、脳が認識出来てなくて結果として周りの人からは見えてないように見える。ってめちゃくちゃやっかいな後遺症。
多少は良くなったが左側をぶつけたりっていうのは今でもある。
入院の時はご飯を食べて、『ごちそうさまです!』って言うと看護師さんに『ずーみーさんデザート残ってますよ?』ってよく言われてた。言われると気付くが自分ではちゃんと全部食べたと思っていたので毎回自分にびっくりしていた。
この病気は自分では見えているので認識しづらい。
では、僕はどうやって自分が左側が見えてないのと気付いたのか。それを書こうと思う。
あれは何日目かの朝だった。
看護師さんの朝は忙しい。
殺人的に忙しい。
その時、僕はトイレに行きたかった。
この時はまだ車椅子だったので自分でトイレに行く事は出来なかった。
なので尿器でおしっこをする。
けど、僕は尿器が苦手だった。
上手くいかずにこぼしてしまう事もあった。
出来ればトイレに行きたいなーと思い、ナースコールを押す。
『…』
『…』
反応がない。
まぁ、朝は忙しいもんなー。尿器でするかと思って尿器を探すが、
『無い』
『無い』
『尿器が無い』
『どこを探しても無い!』
本当にパニックになった。。
この時、まだ34歳。
34歳でおしっこ漏らすだなんて絶対に嫌だった。
けど、尿器はどこにも無い。
看護師さんは来ない。
探しても探しても尿器は出てこない。
今でも覚えてるが溺れてるみたいな感覚になった。
ふと、その時、前日の夜の看護師さんとの会話を思い出した。
『ずーみーさん、尿器左側に置いておきますねー』
『左!』
『左!』
『左!』
『あった…🥺』
なんで左に置くんだ!と今になってみれば思うけど、その時はただひたすらに安心したのと、本当に自分は左側が見えてないんだ。という現実を突きつけられた。
僕は本当に運が良い。
ST(言語聴覚士)に相談したら2年経っても自分は見えてる。大丈夫だって言って家族を困らせてる人も居た。との話を聞いて本当にそう思った。
その日のSTの時間…
先生!僕を何とかして下さい!左側見えるようにして下さい!とお願いして左無視に対するリハビリが始まった。
日常的には左側の指差し確認。
車椅子のブレーキからご飯のデザートまで、左側のものをとにかく指差し確認した☝️
そのおかげもあってかデザートの食べ忘れは減っていって最後は全部食べれるようになった。
もう一つはiPadでの脳トレ
脳トレかよ!と思うかもしれないけどこれが本当に良かった。
幸い、言語障害はあまり無く、コミュニケーションは取れてたのでSTは1日20分だったんだけど、こんなの1日20分やっても意味ない!とすぐに家族に連絡してお金払うからiPad買ってきて!とお願いしてリハビリ以外の時間はずっと脳トレをやる日々になった🙄
我ながら、ナイス行動力である🫠
これをひたすらやっていた。
スマホだと画面が小さいからまだやれるがiPadになると数字を見つける事が出来ず、『わかりません。教えて下さい』と助けを求め、悔しい思いをした。
高次脳は出来ない事を受け入れる事から全てが始まると思う。
もし、まわりに脳卒中やってしまった人がいたらこの脳トレを教えてあげてほしい。
このアプリをやる前に正解率40%台だったテストもこのアプリを毎日1ヶ月やったら正解率95%まで上がった。
努力は嘘をつかないと思った。
身体のリハビリに対して頭のリハビリは効果の実感が薄い。
やってて意味あるのか?って思った時もあったけど、実際テストの点数に反映された時は
『よっしゃー!』と叫んでしまった。
この記事を通して高次脳の事に少しでも興味を持ってもらえればそんな嬉しい事はない。
他の高次脳の症状についてはまた書きたいと思う。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?