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読者の心に届く言葉にするためのコツは、文脈にあった等身大の言葉を選ぶこと-語彙力を鍛えるトレーニング-

 私は考えていることを上手く伝えられない、もどかしさに駆られている事がしばしばある。いわゆる口下手というやつで、直感で感じた事を相手に誤解を招かないように意識的に選んで話すが、ニュアンスに対して使う言葉は誤っていないだろうかと話した後に不安に思う事がしばしばある。
そんな現状を少しでも良くしたいと思い、石黒 圭著の「語彙力を鍛える」という本を読んでみた。この本は、語彙というものの中身を知ったうえで、語彙力の「量」と「質」の両面から強化していくためのトレーニング本になっており、大変勉強になるので一部紹介しようと思う。

(石黒先生の本は他作品の「文章は接続詞で決まる」でもすごく丁寧で説明しており、わかりやすい文章について説得力のある内容をまとめているのでオススメの著者である。)

語彙について考える

はじめに語彙とは、”頭の中にある語のリスト“のことである。語彙のなかでも実質的な意味を持つ語が内容語、文法的な機能を持つ語が機能語と分けられる。従って語彙力は内容語を指し、場面によって使う語彙を増やすことが語彙力を高めることにある。

内容語→名詞、動詞、形容詞などいわゆる語彙力
機能語→
助詞 助動詞接続詞など文法力 

理解語彙と使用語彙 

語彙力を考える場合、理解と表現に分けられる。一つは聞いたり読んだりしたときに意味を呼び出せる語の理解語彙であり、もう一方は話したり、書いたりするときに使える語の使用語彙という。
人間が語彙を習得するときには、かならず理解語彙から使用語彙になるという順序で進む。
したがって、語彙力を増やすには多くの語彙をインプットし、そして語彙の質を高めることこそが語彙力の要となる。
語彙力=語彙の量(豊富な語彙知識)×語彙の質(精度の高い語彙運用)

語彙の「量」を増やすには様々な方向からのインプット、語彙の「質」を高めるには?

次に語彙の質を高めるには、文脈に合った正確な言葉選びを知ることだ。
例えば、文脈に応じて「食べる」を「かきこむ」、「いただく」、「口にする」などと言い換える。また、「見る」という言葉を「目にする」と言い換えると洗練された印象になるなど、語のイメージを喚起する語感に敏感になり、語感と文脈の相性を考えれば語彙を選択する際の精度が上げられるという。

まとめ

 この本を通じて、語彙について様々な角度から着目して考えることができた。
 語彙力の高い人というのは、ただ単に「知っている言葉の数が多い人」ではなく、「文脈に合わせて適切な語を選択する力を持った人」だという事を知った。そのうえで、相手の心に届くかどうかという事が重要なのだ。そこに威勢のいい言葉も凝った言葉も必要ない。
「シンプルな言葉を選ぶだけでよい。言葉の形を意識させずに内容がすっと入ってくる言葉選びを目指すのがプロの発想だ。でもこれが難しい。」
この言葉に凄くハッとさせられた。この語彙力の核となる部分を心にとめて日常生活に活かしていきたいと思った。

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