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研究会発表:福祉機器評価プロセス研究

第179回ヒューマンインタフェース学会にて「福祉機器評価プロセスと当事者を巻き込んだコミュニケーションの実践分析」の発表をしました。産総研とMTヘルスケアデザイン研究所と実施した福祉機器評価プロセスの研究のアウトプットの一つです。本発表では、日本の福祉の現場で福祉機器が活用されてないという現状とデンマークでの利用の現状を概観し、デンマークで利用が促進される要因を評価指標やプロセスの観点から見ています。そのうち、論文誌に投稿したいとも思っているので、その時にまた改めて報告したいと思います。

安岡 美佳 阿久津 靖子. 福祉機器評価プロセスと当事者を巻き込んだコミュニケーションの実践分析. ヒューマンインタフェース学会研究報告集 Vol.22 No.7 SIG-UXSD-12 / SIG-CE-22.p57-66.2020
Mika Yasuoka and Yasuko Akutsu. Analysis on Assessment Process of Welfare Technologies and Effects on Stakeholder Involvements on Assessments. Vol.22 No.7. SIG-UXSD-12 / SIG-CE-22. p57-66.2020

第179回ヒューマンインタフェース学会研究会「ニューノーマルを見据えたコミュニケーションデザインおよび一般(SIG-UXSD、SIG-CE)」
開催日: 2020年11月17日(火)
オンライン:Zoom
https://jp.his.gr.jp/2020/08/24/meeting179/

葛岡先生の招待講演

一番のヒットは、招待講演の東大の葛岡先生の発表。「社会的手がかり指向の対話空間デザイン」は、社会的手がかりに関する90年代から今までのCSCWやHCIの研究に触れ、アウェアネスや注視、参照表現などのキーワードを元に、盛りだくさんの内容でした。興味深い内容は多々あったのだけれども、90年代に研究されていたAloneness(孤独感)のトピックと現代の孤独との関連とか、現代のZoom利用とZoom疲れ、逆に過度に繋げないAmbientなアプローチ(Eating, alone together)とか、今だからこそ見直す価値のある研究が次々に出てきて、改めてその時代の研究を見直してみたいと思わされました。

重要になりそうなトピックとして現在のプロジェクトの関係で話していた「現実にとらわれないアプローチ」として、髭を生やして顔を変える機能とか、リアルタイムで笑顔を作り出す機能とか、音質を変える機能とか、集約型アバターなど、深掘りしたら面白そうな新しいトピックも惜しみなく共有してくれました。個人的には今ホットなトピックと言っていた「人とAI」の関係(Tama, 2019)などよりも、「現実にとらわれないアプローチ」として紹介していたのが刺さりました。

感想

そのほか、発表で興味深かったのは多々あり、またかつて共同研究をしたりお世話になっていた人の研究(タキザワケイタさんとか)などが次々と出てきて、刺激を受けた1日となりました。朝が早く(デンマーク時間の1時開始)、(起きられなくて)見たかった朝の発表を逃したのは残念な限りだけれども、オンラインで日本の学会にも参加できるようになったというのは、コロナで変わったことの一つ。物理的な会場に集まっての会議ももちろん重要だけれども、このままハイブリッドが続くといいなと思いつつ。

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