見出し画像

リビングラボの日本モデル

2024年2月4日日曜日、こまつリビングラボ第五回:リビングラボのこまつモデルを考える、が開催された。

私は、「北欧の事例を交えたリビングラボの役割」という題目で30分ほどお話しさせてもらい、その後、青山学院大学教授野末先生のファシリテーションで、90分程度の宮橋小松市長とのトークセッションを実施した。以前にも、なぜ小松市のリビングラボが面白いのか、素晴らしいのかということをお話ししたが(こちら:地方自治体でリビングラボ:石川県小松市)、今回のリビングラボワークショップでも前回の印象が強化された。簡単にではあるが、その報告をしたい。

可愛らしいイベントチラシ

なぜ、よいワークショップなのか

小松の皆さんの「参加度」が秀逸

まず、小松市の市役所の方々(中山さんと竹内さん)の司会キャラが秀逸。突然の寸劇を始めて、私は驚きつつも、以前もやったのだろうか、参加者は期待していたみたいだ。程よい掛け合いで、背景説明、導入、情報伝達が、寸劇を通して進む。そういえば、小さい頃は寸劇ってよくやっていたなと思い返し、今の学校でもやるのかな。北欧のデザインセッションでは時折Acting Outとカッコつけて、新しいデザインアプローチとして実施されることがあるけれども、いやはや、日本では「寸劇」昔からやっているじゃないか。今回も、外からの借り物デザインツールという感じが全くしない自然な流れの寸劇情報共有セッションだった。

今回のワークショップは、参加者がデザイン行為をする今までの4回のタイプと違う。4回分のセッションの振り返り、私のプレゼン、市長と私のトークセッションが中心だ。トークセッションの際にインタラクティブにするために、野末先生がオンラインのリアルタイムアンケートシステム「イマキク」を準備してきていていたのだけれども、これがなかなかいい味を出していた。「イマキク」には、無記名で意見を言えたり、難しい機能がないことなどが、ちょっと恥ずかしがり屋の日本人にも合っているんだと思う、活発に利用されていた。

意見が次々に出くるし、その中には忌憚ない、遠慮ない意見や、少しクスって笑ってしまうような意見なども次々に出てくる。ちなみに、宮橋市長は、今までのセッションに全参加しているようで、市民からも多々いじられていて(尊敬されつつですけれど)面白かった。「市長がラフな服装なのが良い」とか「声がすてき」と、コメントもらっていましたね。

「イマキク」の画面

ファシリテーションの力

野末先生のファシリテーションも、輪をかけて積極的な雰囲気を作り出していた。いい意見や面白い意見をタイムリーに汲み上げて、場に一体感を生み出すのが上手い。ファシリテータの属人的なところに頼りすぎてしまうと、その人がいないと何もできないということになりがちなんだけれども、今回のワークショップは、総合力の勝利(ツール、ファシリテーター、ポジティブ思考で小松ラブな参加者)なのかなと思わされる良いセッションだった。

ウラ日本小松

裏日本という言葉がある。表日本に対応する、経済的に遅れていたり華やかでない日本海側エリアをディスる言葉として使われることが多いようだし、確かにあえて自分で「裏日本の私たち」というアプローチをする例は聞いたことがなかったように思う。ただ、これからは昔ながら日本の原風景を残しているという意味で、もっと注目されていくだろう。今回の宮橋市長の言葉が全てを語っている。曰く、「番長より番長の方が強そうですよね」。

ということで、これからはウラ日本に注目です、という主張には妙に納得。経済発展の軋みが見られるオモテよりも、スレてないウラに可能性を感じるのは私も同じだ。小松市の2040年ヴィジョンでは、「ウラニッポン」がフィーチャーされていて振り切っているところが素晴らしい。

「ウラニッポン」発掘しに行きたい

長い歴史で考えると、大陸に近い日本海側は、交易や文化の通り道で、京都や江戸の中央政府の仲介役を果たしていて、江戸期の華やかな文化の跡がそのまま残っていたりする(例えばこども歌舞伎とか)。さらに、小松市には、飛行場があるのだが、3月に新幹線が開通するということで、都市機能の作新やアクティビティの活性化が期待されている。ちなみに、飛行場の駐車場は無料なんだそうで、小松からアジアの基幹空港(仁川とか)に飛び、そこから欧州に行くことだってできる。夢のある話だ。

テクノロジーも軽やかに使う

今回の対話ではそれほど出てこなかったけれども小松市2040ビジョンで描かれている絵を見ていると、テクノロジを前向きに活用しようという意気込みが伺われて、それも個人的には嬉しい。

小松の2040年ビジョン。読み応えがあると同時に、素晴らしい可視化でわかりやすい

ちょっと話が逸れるが、ゆかいな知性北欧編のポッドキャスト第8回で、北欧MaaS (Mobility As a Service、サービスとしてのモビリティ)の話をした。日本はどうなんですかと聞かれて、「北欧も面白いプロジェクトあるけれども、日本に今注目しているMaaSがあるんだよね」と、小松の無人バス計画に言及した。前回、小松市を訪問した時にお伺いした小松市が進めている空港までの無人バス路線の話を聞いていて、その記憶がずっと頭に残っていていろんな人に話してまわってた。ゆかいな知性北欧編は、北欧テーマのポッドキャストなんだけれども、日本の良さも知ってもらいたいと、収録の時に口から自然と出てきたのである。日本のMaaSプロジェクトはすごいし、その一端が小松に見られる。小松のテックサイドに関心がある方にも、聞いてみてもらいたいと切に願う。

小松市のHPより。

あぁ、楽しかった。次回は現地参加で。

小松市:令和5年度「「未来型図書館を共に創る!こまつリビングラボ」についてhttps://www.city.komatsu.lg.jp/soshiki/1009/livinglab/15157.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?