インド旅行記 ー はらいそ通信 - vol.1
横尾忠則さんがいなかったら、僕はインドには興味を持たなかったかもしれない。正確に言えば、横尾さんが描いた細野晴臣さんのLPジャケットを見なかったら、ということである。
細野さんは日本を代表するミュージシャンの一人。坂本龍一さんたちとYMOを結成した中心人物である。その細野さんのアルバムジャケットを描いたのが横尾忠則さんだ。キテレツ、摩訶不思議で暑苦しく、そしてなぜか危ない感じがするジャケットだった。その絵はどう見てもインドだった。初めてレコード屋でそのアルバムを手にしたとき、何かに誘われるように買ってしまった。細野さんの曲はどれも素晴らしく、そしてインド的であり、甘く媚薬のような香りのするアルバムだった。タイトルは『はらいそ』。それが僕のラブ・インドのはじまりであった。今からもう30年も前のことである。
世の中には二種類の人間いる。インドに行く人と行かない人だ。そして、インドに行った人にも二種類ある。また行こうと思う人と二度と行くもんかという人だ。インドに行った人、そして何度もインドに行くことになる人を『呼ばれた』というらしい。一体誰に呼ばれるのかよく分からないが、呼ばれないと行かれないそうである。その辺からして、神秘の国である。近所のコンビニに行くような感覚でインドに行ってはいけないのである。なんといってもお釈迦さまの聖地である。多少そんなことでもないとありがたみが薄れる。
カレーとヨガと「踊るマハラジャ」の国インド。果たして僕は聖地インドに行くことができるのだろうか。そもそも、僕は呼ばれているのだろうか。
平成23年、ついにインドからお呼びがかかった。(くれぐれも政府とかインド仏教界からお呼びがかかるという話ではないことを強調しておきます)というのも、過去二回、経王寺でインド旅行の計画があったが、二回とも中止になった。一回目は爆弾テロかなにか、二回目は鳥インフルかSARSか何かの病気の流行で取りやめになった。植木等じゃいけど「お呼びでない?!こりゃまた失礼いたしました。ハラホラヒレハラ~」って感じで、結構ショックだった。こんなに憧れているのに、どうして俺は呼ばれないのか。修行が足りないのか想いが弱いのか。あぁ、はらいそは、やはり蜃気楼なのか、と真剣に悩んだりした。
しかし、今年(2011年)、満を持してインド旅行が計画された。綿密かつ慎重に計画は進み、ついに我々一行は、インドに向けて日本から飛び立ったのである。時は平成23年2月6日のことである。果たして、インドはどんなところだったのか、こうご期待!
to be continude
大乗山 経王寺「ハスノカホリ no.39」より
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