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ビデオグラファー奮闘記 #4 『自分らしい映像とは?』

この記事は、人を感動させる映像を作りたいフリーランスのビデオグラファーたちが、共に学び、成長していく様子を綴ったものです。
定期的に配信していますので、ぜひご覧ください!

〈前回の#3はこちら!〉

#4は前回の続きのお話。(ぜひ#3と併せてご覧ください。)
一つの作品から多くの気づきを得られるようになってきたメンバーたちは、さらに学びを深めます。

◆Chapter1◆
同じ準備をしても、撮れる映像は人によって違う


ツナマヨさん:
前回、土屋鞄のCMで子どもたちの自然なリアクションを引き出すための場づくりや準備についてお話ししました。

土屋鞄『土屋鞄のランドセル Concept Movie』

ただ、分析をした中で一つどうしても引っかかっていることがあるんです。
場づくりや準備を完璧に真似をしたとして自分が撮影の場に立った時に、子どもたちの自然なリアクションがここまで本当に引き出せるのかなって。
ここに映るリアクションは、カメラマン自体の空気や色がうまく活かされてこそ撮れているものなんじゃないかと。
以前、監督の柘植さんに「どうやって撮ったんですか?」と聞ける機会があったんですけど、「狙って撮っているわけではなく、子どもたちが僕に興味を持たないから誰もいないように振る舞ってくれているだけだ」って言ってたんです。
きっと柘植さんだからこそ生まれる子どもたちとの距離感があるんだなって思いました。
だとしたら、この作品や柘植さんという監督をどれだけ目指しても、その人じゃない限り、同じものやそれ以上のものって作れないのかなと思っちゃったんですよね。

▲撮影であっても、いつもと変わらず家の中で遊ぶ子どもたち

ヨモギさん:僕も同じように撮れるかって言われたらあまり想像できません。この映像には柘植さんにしかない空気がきっと存在してますよね。ただ、同じように撮っても人によって映像が変わるのってある意味当たり前じゃないですかね。逆にそれは良いことだと僕は思ってますよ。じゃないとその人が撮る意味もないし、そういう人によって変わるポイントがその人らしい映像の要素だったりするんじゃないかって。

ツナマヨさん:確かにそうですね。でもやっぱり僕は柘植さんの作品が好きなので同じような映像が撮りたい気持ちがある。だから撮れる映像の幅を広げようと「自分らしさ」を抑えることが必要だったりするのかなとも思ったり…。難しいですね。
それに、自分らしさって自分ではなかなか分からない(笑)。

ヨモギさん:その人らしさって、自分よりも他の人の方がはっきり見えてたりしますもんね(笑)。例えば、今回ツナマヨさんが同じように撮ってみたとしたら、ツナマヨさんならではの子どもたちとの関係性が生まれると思うんです。ツナマヨさんは土屋鞄に出てくる子供たちと同じ年くらいの子を持つパパでもあるから、子どもたちはツナマヨさんから自然と親しみやすさを感じると思います。「これ、カメラのおじさんに見せてあげる!」と、おもちゃを持って子どもたちが近寄ってきたりふざけたりする画が撮れそうって、簡単に想像できます。それはそれでツナマヨさんにしか撮れない映像だと思うんですよね。子ども慣れしていない僕には誰も寄ってこないだろうから、撮れるものも距離感も変わってきそう。

ツナマヨさん:なるほど。自分らしさを言語化してもらうと、自分だったらどんな映像が撮れそうかイメージできそうですね。

ヨモギさん:この映像において一番大事なのって、子どもたちが喜んでいる表情をちゃんと捉えていることですよね。だから、「カメラマンの存在感がない映像」だということは、それがいいというよりも、子どもたちが喜んでいる場を作った結果、自然にそうなっただけだと思うんです。
場づくりの話の時にお話ししたような、キャスティングの考え方やランドセルが届くまでの準備って一つのノウハウとして磨けそうだとは思うんですけど、現場で何が撮れるかはビデオグラファーそれぞれの個性や性格にかなり影響してきそうですよね。

モクモクさん:「自分のコンプレックスが強みになるのが映像ディレクター」という言葉を、ある有名監督から聞いたことがある。映像づくりは、これまで生きていた価値観やバックグラウンドが全部現れるものなんだ。ツナマヨさんもヨモギさんも、また別の誰かも、元気な子どもたちに対してどんな表情でどんな声をかけるか、親御さんとどんな会話をするか、全く異なるはず。コミュニケーションの仕方は十人十色。それが自然と現場の空気感を作ったり、子どもたちのリアクションに繋がったりして、結果的に撮れる素材が変わってくる。そういうものだし、それでいいと思うことが大事なんじゃないかな。自分と異なる誰かになろうと思うのも良いが、個性は長年培って出来たものだから、コミュニケーションの仕方を意識したところで簡単には変えられない。であれば自分らしく自信を持って臨めたほうが良いんじゃないかな。

ツナマヨさん:その自分らしさってどうやって分かるんですか?

モクモクさん:他者の視点には限度がある。だから最終的には自己分析をするしかなと。自分がどんな人生を歩んできたのか、どんな瞬間に嬉しい気持ちになったり、嫌な気持ちになるのか。何を恥ずかしいと感じ、何を恐れ、何を欲しているのか。などなど、深層心理を含めた自分の心の中を明らかにしてみると良いと思う。自己分析は、ビデオグラファーにとって欠かせないスキルと言える。

ツナマヨさん:自己分析!就活以来やっていないですね…。確かに自分らしさって何かよくわかっていなかったです。ちょっと大変そうだけど、これを機に分析してます!

モクモクさん:幼少期の記憶が鮮明な人ほどクリエイティブだと心理学では言われている。面倒かもしれないけど、ぜひチャレンジしてみよう!

人の心や温かさの本質は時代が変化しても変わりません。
だからこそ、名作は受け継がれ、時代を越えても多くの人の心を動かします。
名作を分析すること、それは成長への近道です。

第5回の記事もお楽しみに!


▼Happilm公式YouTubeもぜひご覧ください!


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