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水溶性のダンス SF創作講座最終実作感想




好きな1行


巧みにカットされた宝石のように細かな直線がおりなす、複雑でどこかよそよそしい造形。

七色に光をふくむ塗装のおかげで、体がなかば透けているかのように錯覚しそうになる。


感想

 お決まりの台詞に、お決まりの仕事。拙い言葉しか持たない人たちのなかで、自分の言葉を持った人がいる。魅力的な、かえのない存在として。けれど、台本にそっていなければ、新しい自分が作られ、自分の居場所を奪っていく。新しい自分が存在している世界で、元の人はどこにいくのか?
 魅力的な人の対比として、台本に従う人々と街は、灰色だ。はりぼての見せかけだけの街。そんな世界で、自分の言葉を持ってしまった世界で、何を希望に生きるのか。
 魅力的な人に思い焦がれてしまう。その人の体、言葉、雰囲気は、たとえ同じその人であっても同じではない。自分がその人と同じ体を得たとき、その人の考えをなぞることができるのだ。
 この1行は、失ったあの人をわずかでも知ることができた喜びを、表現していてとても好きだ。
 ともに言葉を交わしていた、言葉を持ったあの人も、魅力的な誰かを失ったのだろうか。1人残された、あの人の行方が気にかかる。


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