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夏 SF創作講座最終実作感想




好きな1行


浮かんで流れ、たゆたい、頭上の星の下で蛍たちは地上の星のように飛び回った。

蛍は、視野を横切り、舞い上がり、星のように瞬きながら私を包みこんだ。


感想

 この、蒸し暑い、ムッとした季節にぴったりな物語だ。
 開発途中で頓挫した、谷底を走るジェットコースター。錆びれて放置されていたそれを、祖父は持っていた。それを純粋に楽しめるほど、私は無垢ではなかった。もしそんなものが実家にあったらワクワクするだろう。
 谷、清流、蛍、ジェットコースター。それらが複雑な状況にいる僕を迎えた。
 谷からは、穏やかな風がきっと吹いている。
 私は、夏になるたびに思い出すのだ。幼少期の複雑な出来事と、それまでの自分が知らなかったことと、あのころの夏にしか感じられなかったことを。
 この小説を読めば、自分の、夏の思い出をきっと思い出すに違いない。父と母の実家で過ごした思い出を。もうあの頃には戻れないからこそ、その思い出は尊い。
 だた走る、ジェットコースターも、祖父の語る言葉を聞けば、それは違うものになる。
 読んだ後の疾走感は、忘れられない。



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