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増えたり減ったりする物語

 ゲンロンSF講座第5回の課題の梗概感想をまとめました。お題が求めていたことに答えられなかったというのが正直な感想で、講師陣との評価と自分の評価がズレていました。今回選出されたような梗概を参考に、自分の梗概を軌道修正して自主提出目指していきたいです。


梗概感想


今野さん コロボックル帝国、その隆盛と滅亡

始まりを体験できるというのは面白いと思いました。「私」の位置付けがよくわからなかったです。恋人と「龍の巣」にやってきたのは何故なのでしょうか。

○受戒を読み返して見ましたが、また別の物語という感じがしました。


灰色さん 置いていく泥棒

泥棒が家のものを増やしていくという設定は面白いなと思いました。真犯人は別に人間でなくてもいいのでは、なんて思ったりしました。


六角さん チタニウムの雪原

綺麗な世界観でした。増えていく酸化チタンの雪、それが示す世界の終わり。エモーショナルでいいなと思いました。


夢想さん 虫のお告げ

増加するものを読み取ることで、世界を知るという話の流れは面白いなと思いました。AIに管理支配された社会は、現実世界そのものだと思うので、支配された社会から仲間が相原を助けるのは難しそうだなと思いました。


あいださん 名探偵が死にすぎる

探偵が何度も死ぬというのは面白いなと思いました。長也と織数の関係はユニークでした。命の数をどう確認するのか気になりました。


フジキさん アンプラグド

主人公が増えていくということですが、いまいちよくわからなかったです。ヤクザの話や教授と生徒の話の展開はおもしろそうなので、実作で読んでみたいです。


原さん 蘇生樹○

ディストピアな世界観でいいと思いました。どれくらいの規模なのか気になりました。


長谷川さん 絡み合う生命の価値

宇宙からのメッセージから価値観が変わっていくドタバタ感、計築権の設定、AIと人間のマッチングへと予想もしないところに転がっていく感じが面白かったです。ラストはやっぱり宇宙人にきてもらいたいなあと思いました。


駆乱さん 限界領域

領域が増えるという観点は面白いなと思いました。人が入れない地域と生存域の葛藤は、よくある話だと思いました。ナウシカしかり。結局領域はどうなるのか気になりました。


岸辺さん 幸せな子どもたち

情酵素という設定は、エモーショナルな展開に組み込めそうです。ダムの水量が増えてしまった事故に対して、孤児院の子どもが犠牲になるのはどれくらいの認知度があるのか気になりました。


岸田さん わたしがぼくになるまでの1/6

彼女の中に恋人が宿るというのは面白かったです。最後は精神的にどちらが肉体に宿っているのか曖昧にしていると思うのですが、そうした場合題名が少し引っかかってしまうなと思いました。


田場狩さん 悲鳴○


幻想小説の雰囲気もあってとても好きでした。終末もののような雰囲気を感じたのですが、悲鳴礁に対応できない人たちはどうなったのか描くとさらに展開が盛り上がりそうです。


近田さん セレネット・タウン


Twitterのような世界観だと思いました。好きな情報だけフォローして嫌な相手はブロックする。ミュート対象が減っていくたびに主人公の価値観も変わって、面白くなりそうです。



西村さん わずか五度の差


ショートショートのように感じました。爆発によって宇宙空間を飛んでいる。おそらく成果空間そのものが移動しているようなので、生活は可能だけど、母親とは離れてしまっているという展開だと理解しました。雰囲気は面白そうです。
増えているのは母親との距離でしょうか? 


茂木さん 我らの米は世界一


米人間のインパクトがすでにある分、難しいかなと思いましたが、ゾンビ米人間だと思うとまた違って読めそうです。



中野さん 幸せの分割


SMクラブ、従事するAIのなぞ。展開としては面白く感じました。中盤の展開が少し読みにくく感じました。



以下講義後の感想

根岸さん ママの還るところ


記憶が転移していく設定は面白かったです。生殖の際と、亡くなった時にも記憶が転移するのだと理解しました。ママが存命中に意思疎通もできない状態であると、記憶の転移された主人公が動く意味が強くなると思いました。


園田さん NEXT PROGRAM


性別変異ウィルスに罹患したら?という思考実験小説だと思って読みました。中間性の発想は面白かったですし、スー劇場とかよくわからない展開になりそうで、読んでみたいです。



オチノさん 九姉妹殺し


多重人格それぞれが身体を持つという展開は面白かったです。しかし、この技術をこの事件で使用する必然性が弱いように思いました。幽霊が語るという展開は特殊設定で面白かったです。



本所さん 骨壺の届く場所で


衛生葬という新しい仕事を考えていて、お仕事小説になりそうです。数百の骨壷の内容物も知らずに対応する展開は仕事として成立しているのか疑問でした。


ささきさん この中に犯人と座敷童がいる


座敷童殺人事件! 死体が増えていくという展開は、面白かったです。幼馴染も座敷童であると、鞠子の思惑とズレてしまうように感じたのですが、座敷童が鞠子を助けた、みたいな展開にすればありかなとも思いました。


織名さん 穢土ワット・魂の座

仏教SF。定性と定量の違いを物語に組み込んでいて、上手いと思いました。宇宙空間で仏教がどうやって支持を得たのか気になりました。歴史ものに強いのかなと思いました。



伊達さん 膨張性超々炭水化物


米SFだ…米が流行っているのでしょうか。肥満が美の象徴、デブ活という設定は面白かったです。ブラックホールなってしまうというのもバカSFでいいと思いました。


かわのさん 発火点○


かわのさんの作品には共通点があるように感じました。下降していく展開と言語、本、図書館…。講座が終わったら一つ短編集が作れそうです。


宿禰さん 流しの星


歌で妊娠をコントールするという設定は面白かったです。どんな歌を歌うのか気になりました。マヤの母親は重要である一方、物語の展開に絡んでないように思いました。子どもを支配できるとなれば、町を支配する展開も見えてきそうです。


山森さん 清掃ボランティアのその理由


生物たちの思惑を受けて、主人公がボランティアをする…そこからストーリーが始まっていくかと思いました。


去場さん 蟻率アントレシオ・オーバーシュート

蟻化することに、社会的な意味もあって面白かったです。増加率の違いで劣等感を抱える設定も、偏差値で悩む高校生のリアルな様子と重なって読めました。今回の課題に当たって、プラスチックスープを私も手に取りましたが、ここまで考えつかなかったです。


継名さん すべての愛しいイナリたち

倍々で増えていく要素をしっかり取り込んでいて面白かったです。侵略生物のイナリの怖さと愛らしいさも感じました。




馬屋さん おらが村のノア


増えているのか、減っているのかよくわかりませんでした。方言バリバリの感じで展開すると面白くなりそうな気がしました。



和崎さん 夏の残影


『人間らしさ』を失い続けるという設定は面白いと思いました。人でなくななるというのは、幽霊みたいな魂になるということでしょうか? 鬼の存在は、他のひとにも認知できるのかがわかりませんでした。



邸さん エンディングノート


消失病という記憶や存在感が減っていく設定はかっこよくてすきでした。健と今後どうやって出会うのか気になりました。



矢野さん 並行家族 さよなら、東京。。。。。


並行世界の移動に罰金! しかもそれが祖父の痴呆によるものという設定はユニークで面白かったです。思いつかない話の流れでした。
最後のまとめ方がオリンピックに吸収されてしまっているので、罰金増加と絡めた終幕を読んでみたいです。



牧野さん 13名の美しい隆


サイコな研究者が、行ったクローン実験。主人公の倫理観が欠如している点が読みどころではないかと思いました。



吉羽さん 三つ指をついた獣たち


獣の美醜が、心と連動しているという設定は面白かったです。三面鏡だと獣と出会う場所が設定されてしまうので、日常的にガラスや鏡越しに見えるなど別の設定があると生きてくるのかなと思いました。


まとめ

 評価されている梗概を見ると、数字の増減をしっかり意識していたと思いました。自分の評価とのズレをよく考えておきたいです。今回はじめて評価をもらえませんでした。アイディアは評価されたので、物語を作り直して実作を書きます!

良かったら応援よろしくお願いします。たくさん書くと思います。