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この3ヶ月に起きたこと。その反応や対処について。

情報の届き方というのは、人によって、社会によって、国によってずいぶん違うものだなあ、と今回の新型コロナウイルスの件では感じることが多かった。同じように情報を受けていたとしても、その認識の仕方は様々だし、問題への対処の仕方にも大きな開きがあると感じた。その理由は、基礎となるもの、つまり国や社会の基盤、人の生き方の基本となるものの現在地(現状)がいかなるものかということと関係がありそうだ。

人も社会も国も、平常時からある程度の幅をもって、まわりを(社会と自分との関係を)認識している必要がありそうだ。

新型コロナウイルスの現状が抜き差しならない非常事態として、日本に住む大半の人々に受けとめられたのはいつなのか、調べてみようと思った。わたし自身のことをまず言うと、この事象に目を向けたのは、2月4日のことだった。国際ニュース解説の田中宇氏が記事として取り上げていたものを読んだ。ただしその時点では記事のタイトル(武漢コロナウイルスの周辺)が示しているように、中国の武漢で起きている事象としてだった。その後10日間のあいだに、有料記事も含め、田中氏から3つの新型ウイルス関係の記事が立て続けに配信され、これはただごとではないのかもしれないと思いはじめた。そして2月15日の時点で、ウイルス関係の記事は非常に重要なのですべて無料配信とする、という告知が配信記事内にあり、その時点で事の重大さをさらに確信した。ただしその時点ではまだ、「武漢ウイルス」という言葉が記事内で使われていた(その後、新型コロナウイルス、または新型ウイルスという記述に変わった)。つまり中国のある地域で起きている深刻な事象という認識だ。

では日本の新聞はどのように報道してきただろう。Wayback Machineをつかって過去3ヶ月の日経新聞の記事を調べてみた。最初に目につく場所(電子版1面の下半分あたり)に登場したのが、1月20日の「中国新型肺炎、北京や深圳にも拡大 発症200人超」あたりではないかと思われる。このとき、タイトル下に表示されるキーワードは「中国・台湾、生活、医療・健康」で、「新型ウイルス」はない。またアクセスランキングの上位5位内にも、この関係の記事はない。この時点で、日本では感染者が1人確認されていた。

日経新聞の新型コロナウイルス感染世界マップを見ると、日本に感染者が出たのは1月14日。そのとき、中国41人、タイ1人が世界のすべての感染者だった。韓国に1人出るのは1月19日のこと。このあとアジア地域でポツポツと感染者が出始め、その後アメリカ、カナダでも出る。1月末になると、フランス、ドイツ、イタリアと感染者が現れる。2月末までには広がりは中東やアフリカにまで及ぶ。この時点でイタリアでは死者が35人にまで膨らんでいる。3月半ばにはイタリアで死者が2000人を超え、アメリカでも感染者が4000人を超える。アメリカは感染者も死者も増えつづけ、4月1日の時点で死者6500人。ヨーロッパでも全域で猛威をふるい、イタリアは感染者10万人、死者12000人。4月末にはアメリカは死者60000万人を超え、ヨーロッパのどの地域より大きな影響を受けている。

新聞報道のゆくえを再度見てみよう。1月中の日経新聞電子版のニュースの扱いは、...........

葉っぱの坑夫 Journalで読む(残り約2800字)

Illustration by Wendy Lefkowich (CC BY-NC-ND 2.0)


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