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自己客体化-性被害のトラウマ

2024年6月30日に発行された、日本トラウマティック・ストレス学会誌の中に、「自己客体化(Self-objectification)」とは何かの短い記事が載っていました。

“自己客体化”という用語をあまり知らなかったため調べてみることにしました。

客体とは主体からの認識、行為などの対象となるものを指します。
客体化とは、自分自身を客体とすること、自分自身を認識、行為を受ける対象にすることをいいます。

自己客体化というのは、自分自身を他者から認識、行為を受ける対象であるとみることで、記事の中では、「自己客体化とは、他者から性的に客観視されることによって、その第三者の自己に対する視点が内面化することを示す用語である」と書かれています。

性的な暴力や虐待は、加害者により自分勝手な認識や行為を被害者に行うことで被害者の気持ちや意思を無視し人権を奪います。被害者は自分ではどうすることもできない状況で、自分は加害者の認識、行為を受ける対象なのだという感覚になっていきます。言葉を選ばずに言えば、自分自身を性的な認識や行為の対象物、モノとして扱われる存在のように感じてしまうのです。

もちろん性的な暴力や虐待は100%加害者が悪いのです。
絶対に被害者はモノとして扱われる存在ではありません。
一人の人間として大切にされ尊重されるべき存在です。

記事には、「性被害の予防やその介入において、自己客体化の視点を組み込んだ評価および支援が有用となる可能性がある」とあります。大切な視点であると思われ、今後の研究などがさらに進むことを期待し、私自身もさらに勉強をしていく次第です。

【引用文献】
松岡優菜,伊藤大輔「レクチャーシリーズ用語集48 自己客体化(seif-objectification)」(2024)日本トラウマティック・ストレス学会誌,Vol.22,No.1

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