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カレーですよ4315(高座渋谷 タンハー)高座渋谷でベトナミーズツアーその3。

さて、この夜の最終目的地にやってきた。買い物をしたバインミーベトや金福、並びのベトナム料理店サイゴンから3分ほど歩いたところ。日も落ちて暗い田舎の夜道という風情。

住宅街だが人気がなく、団地に灯りが灯っているがそれがなんとなく遠く感じられるような寂しい道。さっきの店からたった3分なのに、こんな場所に店なんてあるのだろうか、という雰囲気だ。

カレーですよ。

この店、成り立ちはひとめ見ればわかる、乾物、食料品店からのスタートという感じ。
最近なかなか見なくなってきた、日本に居ながらにしてアジアの空気を胸いっぱいに吸い込める、自分がどこにいるのか分からなくなるような店。

ホント、最近は少なくなった。それに近い店が当たり前に駅の通りの端にあるような時代になったからか。だが、ここまで特濃の店、なかなかない。
はたしてさっき乗ってきたのは本当に小田急線だったのか、それともVNR(總公司塘鐵越南)であったのか。そんなことをぼんやり考えてしまうほどの異国感。空気からして、匂いからして違うと言わざるおえないのが知る人ぞ知る「いちょう団地」向かいの名物店、

「タンハー」

女丈夫だが恥ずかしがり屋の感じ良いお母さんが若いベトナム人の男の子、女の子たちを使って回す、ベトナム食料品店兼食堂。本当にここにくるたびに、旅というのはなんなんだろう、ともう一度考えたくなるような場所なのである。

ベトナム周辺の食材、主に瓶缶物や乾物を中心に食材、調味料、飲み物からカゴ、洗剤雑貨まで壁面の棚にありとあらゆる身の回り、台所周りが揃う。価格も良心的。そして何よりそういう異国の文字で書かれた、知らないにおいの物ものに囲まれて深呼吸する面白さ、いくらでもたっぷり味わえる貴重な場所なのだ。

そんな店の真ん中に幾つかの机をまとめて長テーブルとしたものがどんとおかれ、丸椅子に座ってベトナム料理を楽しめるという寸法。

ついつい嬉しくて繰り返し書きたくなるのだが、最近ではこういう空気の店がぽつぽつと色々な地域で見かけるようになった。昔は見つけるとそれこそ宝物のように秘密にしては通った場所だ。大久保のルンルアン、グリーンナスコ、錦糸町のアジアカレーハウスやタイランドショップ。栃木足利のスリランカフードの足利ハラルフードや成田大栄のタイ、ソンチッチャルーン。千葉富里柴山のプブドゥエンタープライズなんていうスリランカ食材店。どの店に行っても外の空気とは明らかに違うにおいの空気が流れ、アジアの人々がゆるり、のんびりと商売をしている。おかしなことに行ったこともない国の匂いに不思議な懐かしささえ感じてしまうその光景は、ちょっと他のものに代え難い。

さて、まずは冷蔵ケースから勝手にビールを持ってくる。この店ではそういうシステムだ。
ハノイ、サイゴンスペシャル、333(バーバーバー)などベトナムビールが揃っていた。駅前の待ち合わせのフォンホンではサイゴンスペシャルを選んだが、ここタンハーではハノイにしてみた。

さて、料理もいろいろと。

汁麺は「フーティウチャーカー」だったか。
麺は細めの米麺。繊細な旨味のスープはどうやら鶏ガラからの様子。これは本当に染み込むようにうまい。後入れのフレッシュハーブともやしもとてもいい。メインの具材は練り物だ。海のそばのアジアの人はどこに行っても練り物が好きだ。日本人的には不思議な組み合わせだが、これもスープによく合う。

汁麺を一番先に頼んでしまう。そう、ここではルールは無用だ。好きなように選んで好きなように頼めばいい。幸いメニューブック、 いや、これはあれだ、フォトアルバムがメニューブックになったものなのだが、ものすごく厚い。すごい数のベトナム料理の写真が並ぶ。一部は日本語表記(手書き)で説明されているが名前さえ書いていない謎めいたメニューもたくさんある。これを勘と経験で選んでいく。このスリリングな楽しみと言ったらない。

「揚げ春巻き」は見れば一目瞭然の米粉を使った皮で巻いてあり、それがあげるとメッシュ状になって美しい。
「エビ揚げ巻き」は噛み切るとエビがつるりと顔を出す楽しさ。

「コムティットドォ」は豚の焼肉ワンプレート定食。不思議な色と形の、どこの部位かもわからない不安と興味と面白さ。
「コムスオン」も同じくワンプレートの定食で、こちらはスペアリブ乗せごはんという風情。まったくもって旨い。

メニューにはあったのだが名無しであった丸太の輪切り的なものはどうやら「ちまき」。ベトナムちまきなのか。これもおいしかった。

「チェー」2種に「タピオカミルクティ」。デザートまでたっぷり食べた。

食べ終わってもちょいちょい飲みつつだらだらと時間を過ごす。そういうのが通る空気がある。たまたまこの日はわりと空いていてラクして居座らせてもらった。週末は日本人の客がすごいそうだ。平日の夜はやはり近所のベトナム人がゆっくりしていく様子。

深い満足感をもらい、お母さんにタクシーを呼んでもらって駅へ向かう。ちょっと頭に上っていた血がゆっくり下がってくる。興奮と異国の空気は去り、穏やかな気持ちになってゆく。

今日は大人の友人たちとのゆっくりしたいい時間であったが、そっと一人で来てご飯ものをさっと食べる、なんていうのもやってみたい。

間を開けずにまた来よう。

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