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紹介その2『ヴァンパイア:ザ・マスカレード 紐育に巣食う血盟』

ジャンル:テキストアドベンチャー
オススメ度:★★★☆☆

2回目に紹介するのは、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード 紐育に巣食う血盟』(リンクは公式サイト)。元々「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」というテーブルトークRPGがあって、そのシリーズを元にしたADVのようです。Switch・PC・PS4で販売されており、私がプレイしたのはSwitch版でした。
ざっくりとした紹介は例によって公式サイトから。

本作は、ニューヨークの闇夜で繰り広げられる2つの吸血鬼派閥、伝統主義者カマリリャと、過激なヴァンパイアである叛徒(アナーキスト)達の激しい対立が描かれている。
主人公は活気溢れる大都市で巣立ったばかりのヴァンパイアの雛として、血族の一人であることの意味を学ぶ。途中、他のヴァンパイア、薄血たち、グール、人間などさまざまなNPCに出会う。(以上、公式サイトから引用)

ゲームをスタートすると、まず3人の主人公ヴェントール(男性)、トレアドール(女性)、ブルハー(男性)の中から1人を選ぶことになります(名前変更可能)。私はトレアドールでしかプレイしたことがないので、彼女視点でのストーリー紹介のみになりますが、元々はニューヨークでキャリアウーマンとして生活していた彼女が、ある日突然ヴァンパイアに襲われ、次に目覚めた時にソフィーというヴァンパイアの庇護を受けることになり、そこからヴァンパイアの雛として生きることを余儀なくされていく…という流れです。
ヴァンパイアには、人間から隠れて暮らすことや、人前で能力(主に吸血能力や魅了能力)を使用してはならないなどの数々の掟があるのですが、この掟を厳格に守らせようとする封建的な勢力「カマリリャ」と、それに抗い新しいヴァンパイアの世界を作ろうとする「叛徒」と呼ばれる勢力があり、主人公はこの2つの勢力の争いにも巻き込まれてゆくことになります。

ダークでシビアな世界観

ジャンルにも「テキストアドベンチャー」とあるように、アクションの要素は全くありません。チュートリアルのようなプロローグを終えた後は、街に出てさまざまな人物に会い、その人物からのクエストをこなしていくことで話が進んでいくのですが、マップの該当箇所を指定することで移動でき、ストーリーもすべてテキストで進んでいきます。
しかしながら、アクションの要素はなくても、選択肢1つで話がどう転ぶかわからない独特の緊迫感が常に漂っています。カマリリャのルールでは「人前で能力を使ってはならない」とありますが、時として「暴力で解決する」や「吸血する」などの選択肢が表示されます。その選択肢を選んだ先に何が待っているのか……、それは話を進めてみないとわかりません。
又、登場人物達が必ずしも主人公に対して好意的とは限らないところも、この緊迫感に一役買っていると言えます。中にははっきりと敵意を示してくる人物もいますし、最初に主人公を庇護してくれるソフィーにしても、比較的親切ではあるものの、どこか腹の底の読めないヴァンパイアであるという印象を受けます。
これらすべてをひっくるめて、キャラクターにもシナリオにも何とも言えないダークでシリアスな味わいがあり、とても読み応えのある物語が生み出されています。

惜しむらくはUIの拙さ

これほど優れた内容でありながら、何故オススメ度が「★★★☆☆」なのか。それはひとえに「UIの拙さ」にあります。
公式サイトなどでゲーム画面をご覧になると、テキストの表示部分が左下の四角い部分であることに気づくと思います。そして、ここに表示されるテキストは、文章の長さに関わらず最後まで自動的に流れていってしまうのです。
つまり、四角の大きさに収まりきらない長さのテキストが表示された場合、収まらなかった最初の方の文章は読めなくなってしまうわけです。
テキストベースのゲームでこれは致命的です。もちろん、バックログを使用すれば一応全体のテキストを見ることはできるのですが、そのバックログもボタンを2回ぐらい操作しないという面倒くささの上、結構頻繁にテキストがおさまらない事態が起こるため、何でいちいちこんなことしなきゃいけないんだというイラつきが生じてしまいます。普通、テキストADVって、バックログはボタン1個ですぐ表示されると思うんだけどな…。

どんどん流れて最初の方が読めない文章

以上のことから、私は1回クリアしただけでほぼ放置してしまっています。ストーリーそのものはかなり面白く、又、難解な用語にも用語集が用意されており、世界観にどっぷり浸かる手助けになると思うのですが、あの不親切なテキスト送りと面倒なバックログ操作を思うと、どうにも再度プレイする気が起きません。もしアップデートなどでこの問題が解決したら、すぐさまプレイを再開したいぐらい内容は気に入っているのですが…。
購入を迷っている方は、この点を念頭に置いて検討されるのが良いかと思います。

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