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John 7月

3月から通い始めた、月替わりのデザートコースを楽しむお店。

先月は見送ったものの、今回は桃ということでやっぱりどうしても行きたくなって1人でサッと予約した。

このお店の好きなところはあらゆる場所に挑戦と工夫があるところ。
たとえばお品書きはいつも違うスタイルの印刷で、こんな感じ!

3月は終始の旅と題して
旬の終わりと始まりが交差するコースでした
4月は実りの旅!ナッツをメイン食材に
中華・台湾テイストのお皿が並びました
5月は果水の旅。メロンがメイン
透かしのある紙、きれいだな


そして今回はこんな感じ。

7月は仙桃の旅…どんなコースになるんだろう

今のところ見てもなんのこっちゃかもしれないお品書きだけど、のちにわかります。

座ってしばらくするといつも通りモクテルが並べられてひとつずつの説明をしてくれる。

なんでキャンドルどかさなかったんだ私

右手3つはコンブチャを使用した旨みのあるラインナップ。
Johnは情報量が多いのでゆったりしてるはずなのにいつも気持ちが忙しい。チャートをゆっくり眺めて検討したい。

一杯目はおすすめ通りの右から3番目のバラ×フランボワーズ×パプリカ×ブラックペッパーのモクテルにしました

さすがコンブチャはガツンとくる一杯!パプリカのフルーティーさが夏っぽくていい。

ドリンクが届きみんなが落ち着き始めたころ、メニューが折り畳まれました

なるほど〜!


1 黄初(kousho)

ひや×あつは至高の布陣
  • 桃とズッキーニの春巻き

  • 桃のソース

  • 柚子胡椒のアイスクリーム

  • いちごパウダー

(口頭での説明なので聞き損じがありそうです。ご了承ください)

春巻きには優しい桃のソースがたらり。
中には具がみっちり入っていて、
あたたかくとろけそうな桃と加熱されたズッキーニの弾力の対比が面白い。
柚子胡椒のアイスクリームはさらっとして、中にピールのつぶつぶを感じる。

このお店でひとつ不思議というか、カラーなんだろうと感じるのは、配られるカトラリーのほとんどがスプーンだということ。
このお皿ではナイフとスプーンでした。お皿いっぱいに散りばめられたいちごパウダーはつい、余すことなくすくいとってしまう。

2 月桃(getto)

サーブの後にソースをかけてくれる。
  • 黒オリーブのパウダー

  • 桃を使ったアオ(?)アイス

  • チーズケーキ

  • ルバーブのジャム

  • 桃とホエイのソース

オリーブのグリーンな香りが桃の未熟さを引き立てる
しゅわもちと不思議な食感のアオアイス(馴染みもないので聞き取りに自信がない)はどこか懐かしい。ちょっと駄菓子のヨーグルに似てるかな…?
チーズケーキは控えめだけどねっとり感が料理全体の重力を担っていて安定する。
桃とホエイのソースは喉越しがよく、ルバーブジャムの酸味も相まって、夏の街中を歩いてきたわたしにとても快い爽やかさだった。 

みて、かわいい

バラバラで食べても楽しめるけど
まとめて食べると食感の重なりをアメリカンに解体していく爽快感がある(建造物爆破みたいな)

2.5 ラスクサンド

  • ラスク生地サンド

  • 赤ワインソテーしたジャガイモのガレット

  • ケッパーとすももジャム

  • オクラの新芽

箸休めのしょっぱいもの。

厚めのラスクは焦げが強めで食べ応えがある
ジャガイモなのか、すももジャムのなのか、ケッパーのビネガーなのか、酸味の三つ巴が爆発する
おくらの新芽はもこもこして可愛い

桃×ディル×紫蘇×レモンピールのモクテル

ここで2杯目。これがまたスッと喉を通る爽快感。
今まで飲んできたJohnのモクテルは、飽くまで料理の雰囲気を高める役割として添えられていたイメージだったけど、コンブチャを使うとこんなに華やかになるんだ!と楽しくなりました。まだまだ遊びこごろが止まない。

添えものパン

John名物のひとつブリオッシュ。
前回より中の生地のオレンジ色が大人しい気がした。薄皮はパリッと中はもちりとする。

バターは「酒粕などをつかった自家製」と説明された。前々回までの燻製バターも美味しかったけど、酒粕になると発酵味をはっきりと感じる。

3 餐霧(sanka)

これもサーブされてからスープをかけられる
  • ズッキーニのロースト

  • ホワイトソース

  • 茄子、人参、トマト、パプリカ

  • クルトン

  • 茸出汁のスープ

茸出汁はかなりしっかりと出ていてラスクサンドと塩味が続き、甘さに触れ続けた舌が落ち着く。
ズッキーニのリボンがホワイトソースを囲っている。

クルトンがかなり攻めた焼き具合。ホワイトソースも炙った感じがあるし、他の野菜もギリギリ焦げてないくらいなので甘みは引き立ち、苦みが余韻をもたせる。

Johnのスイーツコースにおいてのスイート(甘味)は決して砂糖やフルーツだけのものではなく、"さまざまな食材の甘味"と定義しているのが面白くて大好きなところなのです。

4 桃源(tougen)

  • 菊の花

  • ピンクブルーベリー

  • フェンネル

  • トマト

  • リコッタチーズのジェラート

  • ピンクペッパー等で煮込んだ桃のコンポート

  • カスタードクリーム

  • ビスキュイ

エディブルフラワーというものが世に出回るようになってからしばらく経ち、皿の上での役割が確立されてきていると思う。見た目はもちろんだけど、花独特の苦みと噛み締めた時は葉では表せられないやわらかい風の香り(味?)がする。わたしは空気を味わっているのかもしれないと錯覚する。

上に浮かべられるのは菊の花だけではなく、それぞれの個性をもった風味がひと口に楽しさを与えてくれる。
ピンクブルーベリーは通常の青いものより甘みがあり、桃やさくらんぼとフレーバーが似ていた。

桃は大きめカットで食べ応えがある。カスタードクリームはさらっとして、下層のビスキュイとよく絡んで純粋においしい。
Johnに珍しい王道のデザート!

先月のユニマテとコラボのコースは行けなかったけど、違う場所でコースを組んだ経験がここに表れているのかな…と勝手すぎる想像をする。
でもいつもお客さんへ耳を傾けてその声を生かしつつ、やりたいことをやり遂げる姿勢がとても素敵なのです。

5 涼米(risotto)

  • 焼きおにぎりのリゾット

  • すだち

  • 鶏出汁

出汁はスイーツコースを食べに来たとは思えないほどちゃんとしながらシンプルな鶏の味。
すだちはピールも浮かんでいる。するする入る。
焼きおにぎりは焦げのカロリーを感じるほど炭っぽい。


6 茶楽(charaku)

最後は焼菓子がJohnの締め

フォークに載っているものから時計回りに

1.パッションフルーツキャラメル
一粒がしっかりと大きいので存分にパッションフルーツの味を楽しめる
ニチャっとしないでスッと溶けるキャラメルが好き

2.カカオ63%チョコとヘーゼルナッツムース
かなり香ばしさのあるカカオだけど重くはない
フルーティーだった口の中を一気に煙たくしていく

3.Johnのフィナンシェ
毎度の締めに必ず登場する焼菓子。外は薄衣のキャンディのように繊細なカリカリ感。中は朝露に濡れた苔のようにしっとりする。
焼いてから少し置くと食感が現れる、ということをこのお店で知ってから、家で焼菓子をリベイク食べる時も実践しています。

4.ほうじ茶クリームとドライ無花果、チェダーチーズのチュイールサンド
チェダーチーズのコク、ほうじ茶の焙煎香、ドライ無花果のまるみのある酸味が合わさると土の匂いがよみがえってくる。どうして!
土味大好きな人間としてはこれはおかわりしてもう一度確かめたかった。

5.桃のタルト マスカルポーネとリコッタチーズのムース、レモンの泡羹(あわかん)
今回の主役である桃でコースのゴール。
桃とチーズって罪の味する。器になっているタルトの香ばしさとも相性ばつぐん。
泡羹というものは、ゼリーのようで口に入れると食感を得る前に消えていく、不思議な食べ物でした。儚い

ここまで読んでくださって、わたしが「香ばしい」「焦げ」と連呼していたこと、きっとしつこく感じたでしょう。わたしも気になってたんです。後半に向かうにつれ、焦げが多くない?

吉村シェフはいつも帰りのお見送りをして下さるので、ためしに聞いてみることに。
すると「僕、焦げてるの好きなんですよねえ、確かに今回は意識しました」とのこと。
曰く本当は桃も焼いたりしてみたけど、あまり評判が良くなかったため見送ることになったらしい。「僕は好きなんですけどねえ」って言われてしまうと、えぇ、食べてみたかったです…。というお気持ちに。

わたしも理屈は何となくわかる。だって焼菓子と桃は相性が良いってことは、要素を桃に移したらどうなるかな?って思うのも自然だもん!例えば鯛の松笠揚げみたいに皮だけ揚げてみたりしたら、皮の細かい毛も焼き消せるし、どんな味になるのか想像できないし!
みたいな実験を、きっとシェフは毎月されているんですね、楽しそうで、大変そう。


来月はマンゴーがメイン食材のようです。
わたしはマンゴーが得意ではないのでお見送りですが、行かれる方がいらっしゃったら、吉村シェフがどんな創意工夫をしたのか、最初から最後まで聞きたいな。

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