見出し画像

思い出の上書き

母が亡くなってから、
母と一緒に行った場所に行くと
胸の奥がきゅーっとなる感覚がありました。


私は20代半ばに実家を出て
7〜8年ほど一人暮らしをしていましたが、
実家にはよく顔を出していました。

結婚し、長女が生まれる時(約5年前)から
私の実家で同居しています。

実家は10年前に引越しましたが
以前の家とはすぐ近く。

なので、
母と暮らしたこの家も
以前の家の周辺も
駅も小学校もスーパーも、
私自身が幼い頃から生活していた場所。

どこを目にしても
母との思い出がない場所はありません。


母が自死した場所は
ホテルの一室でしたが、
そのホテルと運ばれた病院があるのも、
よく一緒に買い物や食事に
出掛けていたエリア。

亡くなった後にその地に出向いた時が、
やはり一番胸が締め付けられました。


それでも、
母と一緒に行った場所に
行きたくないというわけではなく、
実際積極的に足を運んでいます。


それは私の中に、
母と過ごした時間を少しでも忘れたくない
という思いがあるからなのか、
敢えて母を思い出したい気持ちがあるのか、
母の気持ちに寄り添いたいのか…

明確ではないけれど
とても不思議な感覚。


その場に行くと
寂しくなったり悲しくなったり、
ドキドキしたりするのですが、
その感覚は訪れる回数を重ねるほど
薄れていきます。


それは
母を忘れていっているということではなく、
「思い出が"楽しさ"で上書きされている」
ということだと思っています。


母と行った場所に
敢えて行く。

子どもたちと、
久しぶりに会う友達と、
母のことを知る知人や親戚と、
新たにできたママ友と…

母と一緒に過ごした場所で
新しい思い出が増えることによって
母との思い出を一層大事にできるというか、
そうしたい気持ちがあります。


「私はこの場所で、
新たな気持ちで、
元気に過ごしているよ!」
…と母に伝えるような。

そんな思いで、
日々私はまた一つ
思い出を上書きしていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?