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八首抄 令和6年10月号

山口美加代選


夏空に映す君とのワンカット セットは半世紀前の街角

財前順士


惑星の光景のように眺めいる 施設の浴場ふろに幼児が来て

高田好


しやうしやうと朝つゆ光る紫式部つぶら実映ゆるまで生きまほし

西尾繁子


いくつもの把手に触れて来たる掌を全開にして日昏れを洗ふ

臼井良夫


入道雲かぶさるように吾に迫るアクセル緩め右折して避け

浦山増二


ずっしりと重き校史を広げれば我も息子も小さく名あり

森本啓一


浸食の波に体を放るとき瀬に手を伸べよフランスは朝

伊雪佑


炎帝にひれ伏すごとく夏真昼つかのま音の消える時あり

髙橋律子





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