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八首抄 令和5年2月号

広瀬 美智子 選


お墓には行けないけれどこの庭のさまざまな菊をすべてあなたに
高田 香澄

今年もまた着たら捨てよう繰り返し黒きセーターはクッションになる
篠原   和子

天空よりぶら下がるごと動かざるブランコに降る落ち葉しきりに
山北 悦子

おふくろと呼ばれる友はゆっくりとふり向く時におふくろの顔
児玉 南海子

運休の内陸線の駅舎あり玩具箱からこぼれたように
永田 賢之助

スメタナの祖国の河は淀みなくもモルダウの一部となりぬ
建部 智美

何人も来てはくれるな無人駅 秘密をひとつ、ここに捨て置く
山内 可奈子

濯ぎものぬらしてしまう悔いひとつ抱きて歩む目に虹の帯
藤峰 タケ子


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