マガジンのカバー画像

選歌

18
運営しているクリエイター

#短歌の会覇王樹

選歌 令和6年7月号

選歌 令和6年7月号

幾たびの桜に逢へば満つらむか吾はさびしゑ心さびしゑ渡辺茂子

ちりちりと溶けるチーズを鉄板に泳がしてゐる春愁ひとつ臼井良夫

香ばしいクロワッサンの朝食に形似ている雲を目で追う児玉南海子

皿を洗ふ妖精が来てくれぬかと少女は思ひ今でも思ふ高田香澄

浮き雲にトランポリンのぷあんぷあん捻挫の足とドジな私髙間照子

健啖の妻へひと切れカツ分ち相もかはらぬ夕食風情橋本俊明

ふかぶかと椅子に腰かけ息を吐

もっとみる
選歌 令和6年4月号

選歌 令和6年4月号

被きたる雪の帽子にさざんかは寄り合うようにくれない灯す(藤峰タケ子) コマ送りするかのように窓越しに真白き富士はぬっと現わる(宮本照男) 赤塗りの水上客船現れる橋の下より龍のごとくに(清水素子)
 
淋しさもとことん辿りつきたればそれが力になるとは言えど(高田好)
 
この時は何を考えていただろう太宰治のグラビアの顔(田中春代)
 
まちがへてアクセル踏めるさながらに饒舌とまらぬ熱燗一合(山北悦子

もっとみる