【Tsurezure Alphabets 26】 C for cry

cry
(動詞)泣く

人間は実に不思議な生き物だ。何かを伝えるために涙を流す。犬も猫も、動物園のキリンでさえもそんなことをしているのを見たためしがない。

まだ言葉を話せない赤ん坊は、お腹が空いたとか、眠いとか、おむつを替えてほしいとか、生理的な不快を覚えると、保護してくれる親に知らせるために泣く。少し大きくなっても、まだ感情をよく理解できていないうちは、何かうまくいかない、気に入らないと泣いてしまう。社会性が発達すると少なくなるが、おもちゃの取り合いのような些細なことでも泣き出してしまう子供もよくいる。学校に通うくらいの年齢になって感情が豊かになってくると、感動する、または悲しい物語を読んでは涙を流したり、卒業というような節目に感極まったり。勉強やら友人関係やらで挫折を味わったり、部活の大会で負けたりしたときに悔し涙を流し、その後の努力が実ったときには喜びに涙を流したり。大切な存在と死に別れたときは、もう二度と会えないという、この上ない悲しみに暮れ、涙を流す。人間だけでなく、たとえばハムスターのような小さな生き物にも関心が出てくると、尚更。

強い気持ちを表現する方法のひとつが、「泣く」という行為だと考えている。よく、「もう大人なんだから泣いてないで」とか、「男の子は強くあるべき、泣いたら駄目」だとか言う大人がいるが、本当にわかっていないと思う。その人が泣いているというのは、その人に言葉に出来ないほど強い気持ちが現れているのだから、それを否定するのは大きな間違いではないのか。人間としての、動物との大きな違い、素晴らしい機能をここで否定することにもなるのではないか。

そういえば、私が好きだったアニメの歌にもこんな歌詞があったなぁ。

泣かないことが 強いことなんて
誰が言ったの??
思い切り泣いて ほら、顔をあげて
傷つくことから 逃げてた
昨日にサヨウナラ
まだ風は強いけど

奥井亜紀「心のファンファーレ」(アニメ「ポケットモンスター ベストウイッシュ」エンディングテーマ)

泣きたいときに泣けなければ、気持ちをずーっと反芻させたままで辛い。(もちろん限度というのはあるが、)自分の気が済むまで泣いたほうがすっきりすることが多い。泣いたあとで冷静になれる時間が必ず来るのだから。その時間で、失敗の反省とか、気持ちの整理とかをしていけばいい。

涙も人間のコミュニケーションに役に立っている。だからこそ、人間は素晴らしい感情を持っているものだ、と思っている。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?