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【エッセイ】坂本龍一さん

ステージでピアノを弾く坂本さんをはじめて観たのは3年前。

戦後75年の節目の年だった2020年01月05日、
沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟で開かれた
「吉永小百合・坂本龍一チャリティーコンサートin沖縄『平和のために~海とぅ詩とぅ音楽とぅ』」でのステージでした。

noteの住人の方で、このコンサートをご覧になった方はいるでしょうか。

客席には年配の方から10代の若い世代まで座っていました。
吉永小百合さんが詩集の中から沖縄の自然や命の尊さ、沖縄戦をテーマにした作品を坂本龍一さんのピアノにあわせて朗読をされると
はじめはお二人の姿を見て歓喜の拍手が響いていた会場はやがて
吉永さんの温かな声と坂本さんが紡いだメロディを聞き逃すまいと静かになり

張り詰めたような、
あるいはかつてを思い出すような、
何かを願うような、
そんな空間になっていました。


「沖縄で演奏するのは初めてでようやく夢がかないました」

とステージで話された坂本さんは
映画「戦場のメリークリスマス」から「Merry Christmas Mr.Lawrence」、
映画「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」より「Gui」、「energyflow」など、7曲を演奏しました。
さらにゲストの古謝美佐子さんが坂本さんのピアノで「安里屋ユンタ」を歌われて、客席も一緒に歌って盛り上がり
アンコールでは沖縄県内の子どもたち(30名~40名くらい?)が加わって「てぃんさぐぬ花」を歌いコンサートは終了しました。

坂本さんの演奏はもちろん、吉永さんの朗読も素敵でした。
吉永さんは坂本さんとの共演が本当にうれしそうでした。


が、しかし実は
アンコール…と書きましたが、当日の客席からはアンコールの声はありませんでした。
一度、演奏を終えて皆さんが舞台袖に行かれた後、お客さんたちは(私もふくめて)アンコールはないものと思っていて、会場を後にしようとしていたんです…。

やがて少したってから坂本さん、吉永さんがステージに再度登場され、
坂本さんがはにかむように

「…アンコールはもらってないんですけど笑、でてきました笑」

と話して、最後の曲をみんなで歌ったというなんとも微笑ましいラストでした。
(※私が座っていた周りではアンコールの声は聞こえませんでしたが、他の席で声があったなら、すいません)


ずっと観たかった坂本さん。
あなたの功績、才能とセンスは語りつくせません。
「世界の坂本龍一」なのに、この小さな島へやって来て演奏してくれた坂本さん。
お忙しい方だから
次に沖縄に来られるのはずっと先だと思っていましたが

ずっと遠いところへ行ってしまいました。


けれど
あのときのメロディとあの横顔は今も心に残っています。


あなたが届けた平和への想いが
あなたのメロディとともに
季節を彩る花となりますように。
季節を運ぶ風となりますように。



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