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【観劇】三谷幸喜演出2013年シス・カンパニー公演 舞台「ドレッサー」

NHKの2022年大河ドラマ三谷幸喜さん脚本の「鎌倉殿の13人」。

これを書いている4月17日の放送回は前評判通り、源頼朝を演じる大泉洋さんが「小さな最終回」と述べたように(!)佐藤浩市さんが演じた上総広常の最期に見応えありました。


三谷幸喜さん脚本、大泉洋さん出演といえば多くの作品がありますが2013年にシス・カンパニー公演、舞台「ドレッサー」を観ました。

せっかくなので振り返り観劇として感想を少し。


シス・カンパニー公演 三谷幸喜さん演出の舞台「ドレッサー」(作ロナウド・ハーウッド、翻訳:徐賀世子)

ロナウド・ハーウッドによるこの物語は
83年に映画化され大ヒットした、という経緯もありますから
ご存知の方もたくさんおられると思いますが

ストーリーは

第2次世界大戦下の英国で
「サー」と呼ばれるも空襲によって心神喪失気味になっている老座長が率いる
あるシェイクスピア劇団の楽屋裏の様子を描いたもので

戦時下で俳優もいなくなり座長夫人やベテラン舞台監督は公演中止を主張しますが

長年「サー」に 献身的に仕えてきた付き人・ノーマンは、その日の演目『リア王』を開幕させようと 甲斐甲斐しく奮闘する・・という内容の悲喜劇で
舞台裏での個性的な登場人物たちの会話とやり取りに笑いそして涙します。


老座長「サー」に橋爪功さん
ノーマンに大泉洋さん
座長夫人に秋山菜津子さん
ベテラン舞台監督には銀粉蝶さん
他にも
三谷さんの作品でおなじみの
梶原善さんと浅野和之さん
TV、CMでも人気の平岩紙さん
というキャスティングでした。


見所は多々ありましたが
中でも膨大な台詞でほとんど出ずっぱりの洋さんは
以前舞台を拝見したときよりもさらにエネルギッシュで
一公演にこのエネルギー配分で千秋楽まで持つんだろか
と思ってしまう位(!)でした。


さらに
今回実は一番嬉しかったのが
橋爪功さんのナマのお芝居を拝見できたことでした。

橋爪さんのお芝居は以前から好きで

小さな小さな仕草

例えば小さな瞳の動き、ため息とか
アイデアを思いついたときの声、
話しかける表情などなど。

ナチュラルで長い時間見ていても疲れません。

今回はシェイクスピア劇の老座長役ですからもちろん大声もあり、ほとんどが疲れた表情の演技でしたが
ステージから離れた客席でも細かな仕草がわかりました。
素晴らしかったです。

演技論は様々あると思いますが橋爪さんは日本演劇界には欠かせない方だと思います。洋さんもまた、三谷さんのリクエストに応えることの出来る俳優さんのひとりだと思います。


・・・

人に忍びよる老いの影。
激しい愛とひた向きな愛。
怒りと妬み。
尊敬と友情。

三谷さんの演出とキャストの皆さんによってそれは
しっかりと表現されていました。

三谷さんはなるべく原作に沿って演出をされていると伺っていましたが
ちゃんと三谷さんワールドもありました。


第二次世界大戦下でも舞台を続けようとした演者たち。遠い世界と思っていた世界は2022年、今まさにある国によるある国への侵攻を目の当たりにして遠い出来事ではないと知らされています。私がこの舞台を思い出したのは「鎌倉殿…」を見たからだけではないのかも。

三谷幸喜演出「ドレッサー」。

なんとも贅沢な舞台でした。



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