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これも負の遺産

楽しい過去の追憶は今の悲傷を二重に感じさせる。「ああ、ああ、どうして俺はこんなに猜疑深くなったろう。」

島崎藤村

「破戒」





書いていいものなのか、悪いものなのか、だいぶ判断には困ったけれど。もし何かに残しておかないと自分も忘れてしまって、そうなるともう、全てがなかったことになって、悲しんだりつらい思いをした人や、逆にさせたひとの罪もなかったことになって、そうなってしまうのは。。。いいことなんやろか?


既に私の時代には部落問題という道徳授業はなかった。三宮に友人に誘われて遊びに行った先に、そういう話を聞いたのがきっかけだった。
彼は大変かっこよくて、ワタシの友人はそれだけで満足していたようだった。仕事が公務員と聞いて彼女はなお喜んだ。付き合っていたかどうかまではよく知らない。そんな彼とたまたま打ち解けて話す機会があったときに教えてもらった。
「公務員ってゆうても、ゴミ屋やで。おれ長田やから優先」
ナニソレー
「長田知らんの?神戸ちゃうんか?」
神戸ちゃうし、長田もわからん

ほんまになんにも知らないわんわんちゃんだった
おばあちゃんにきいた、
おばあちゃん、長田って知ってる?
「知ってる、えったもんやろ」
えったもんてなに?
「ぶらくや、おばあちゃんもよう知らんけどな。なんや動物の皮とか干してるゆうて嫌われてるとこや」
毛皮干したらあかんの?
「毛皮は高級やなあ。かみさまに対して穢れてるていうことちゃうか」
なんや、おばあちゃんも知らんやん
「おばあちゃんも知らんゆうたで、かかあったことないわ」

おばあちゃんもおかあさんも知らない世界に初めてワタシが関わった。私の世界が、視野が少し広がった。忘れてしまったら。
ワタシはまたわんわんちゃんになってしまうかもしれないので備忘録。
部落問題。



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