8月2日

 登録センターからの連絡が続き、どうやら仕事が与えられることになった。週末を挟み、昨日話を聞きに行った。とんとん拍子ではないが、将来性が伺える内容に話が進むも、心の中のざわめきが収まらなかった。
 受け取った書類の多さや、就業までの手続きの困難さが目立つ。一時的でも懐が潤うであろうことに気持ちは上がるが、何かが影を潜めていた。私の心に潜む、まだ浅い傷跡が疼くのだった。
 今日何度目かの連絡があった後、改めて手続きを進めなければならない数々の書類を見直す。私はそこで働くことは、出来ないのではないかと気付いた。
 かけ直し、折り返しを待つ。やはり働けないことになった。
 落胆しなかったのは、予測が付いたのと、ざわめきが傷跡を潮風のように撫でたからだ。やはり手を引くべき場所だったと、むしろすっきりした。
 登録センターから私の情報を抹消してもらうよう、お願いした。登録期限は2年だったらしく、今年度末までは情報が残ると言っていたが、次年度再度登録し直したところで、同じ石に蹴躓く。それを想定できるのに、今引かなければいつ引くのだろう?
 望んだ仕事に就けるのが、私の人生だと錯覚した。そういう縁を受けたことを実感し、自分は守られていると気付けた気がしたが、やはりそんな上手い具合にはいかない。
 私の道は別のところにあると、何の根拠もないのに信じている。今回の寄り道を経て、尚更そう思ったが、別のところのどの場所にその道があるのか、まだわからない。むしろ道なんて何処にもないのかも知れない。それでも気持ちはすっきりとしていた。
 戻らないと決めていた場所に、導かれた理由はわからない。改めて傷付いただけだったのに、何故、引き戻されたのだろう。
 一から出直し…だとは思っていない。棚から落ちて来た牡丹餅を、不審がって離れたところから見ていたに過ぎないからだ。自分の辿り着く場所を探す日々は続く。何処かに在り、私はその場所で輝くのだと信じる。何処にもないことに悩み苦しんで、苛々する時間がいつまで続くのかはわからないが、傷跡に振り回されながら生きる道は、もう金輪際来ないのだと、自分で自分を収める他に方法はない。
 私が辿り着く場所が、必ず見つかりますように…。どうか力を貸してくださいと、何処かで私を守る誰かに、願うのみである。

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