②途中バイトとお盆の気になる求人

 愛すべき仕事と、待遇に関する不利益な変更との狭間で、悶々と過ごした。することは山のようにあるので、ずっと考えていることは出来なかったが、悲しい事には変わりなかった。相変わらず忙しかったが、減らされた業務もあった。しかし業務削減は、時間短縮とほぼ繋がっていない。結局毎日残業したが、減らされた時間以上働かないよう、意地にもなった。それも時間が経つにつれ、諦めに変わって行った。
 夏休み中に仕事をする権利を奪われた為、転職先が見付からないまま、時間を持て余すことになるのを想像すると、気が狂いそうだった。申請を出せばアルバイトが出来ると知り、急遽、転職先でなく、短期のアルバイト先の求職に切り替える。すったもんだの末、ぎりぎりで何とか決まり、夏休み中の3週間、時短で働く。そして、もう二度とこんな働き方は御免だと身に染みた。
 すべきこと、出来ることが山のようにある、身も心も捧げられる誇らしい仕事を持っているのに、別のことで収入を補わなければならない現実が、唯ひたすら悲しかった。
 一方、3週間のアルバイトで、4~7月中に削減された収入の8割程度を手にすることが出来たお陰で、若干心が落ち着く。年収としてはマイナスでしかないが、2学期には大がかりなイベントのため、第2繁忙期に振り回される。お金のことを心配している余裕などないであろうことが、不幸中の幸いとも言えた。
 精神的に極力安定して過ごすために、アルバイトは時間も曜日も固定にしてもらっていた。一度、台風の影響で時間通り勤務出来ないまま帰らなければいけなくなったが、そのくらいは報酬に引き換えたご褒美のようにさえ思えた。楽しんで働ける環境ではなかったからだが、それで生活している人もいることを思えば、私には合わなかっただけなのだと思っている。
 帰ったら洗濯物を取り込んで片付け、事前に焼いて冷凍しておいたホットケーキを温め直して食べる。そして、通常通り仕事に行っている母が帰るまで、犬と昼寝…。ルーティーンを頑なに守ることで、何とか自分を保とうとしていた。
 夏休み中もハローワークの求人検索を続けた。半年ぶりに一件、目を引くものを見付けたのは、お盆の真っ只中だった。
『今、応募するとしたら、入職は2学期からだろうか…』
『メイン業務以外の補助業務は、どの程度の負担なのだろう…』
『ここへ毎日通勤するとしたら、収入が安定して車を手に入れるまで、結構厄介かも知れない。どうやって電車・バスを乗り継ぐか…』
 そんなことを考えながら、アルバイト期間を終えたらハローワークへ行こう!と決めた矢先、求人自体が無くなった。求人票が発行されてから、一週間も経っていなかった。

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