警察にお世話になりました? ③

 一番近くにあるガソリンスタンドは、金額を表示していない。方角的に、普段利用する機会はなかったが、ある時切羽詰まってバイクを乗り入れた。請求された金額を見てびっくり!相場の倍ほどの値段である。もう二度と行かないと決めた。
 しかしそのガソリンスタンドは、公的機関御用達の店であるらしい。警察のバイクや役所の公用車が利用しているのをよく見かける。何故あんなに高い店が使われているのか、疑問ばかりが膨らむ。そのガソリン代、税金から払われているのではないのだろうか?
 何のパトロールか知らないが、私の出勤時間や夜、犬の散歩に出かけている際など、バイクの警官が何台も連なって走っているのを見かける。大体同じ時間帯なので、事件があって出動しているわけではないのだろう。一台、二台でも『あっ!警察だ!』とはっとするのに、五台も六台も走っていたら、『何の仕事?』と思う。高い店でガソリンを入れているのを見たせいで、『ガソリン、有効利用されてる?』と疑問もくもくだ。貧乏性の無駄嫌いは、生育環境の影響を大いに受けているので、この際仕方がない。
 この日も夜の散歩中、車やバイクが間を空けて何台も通った。
 車輪の動きに喧嘩を売る習性のある我が犬を、その都度足に挟んで待機させる。飛び出しを制止するためであり、人間に密着させることで、エンジン音に対する彼の武者震いを落ち着かせる効果もある。
 ところどころで休憩を挟み、気まぐれに道を変えて大冒険を繰り広げる犬にお付き合い。ようやく帰る気になったようで、歩きたい道を歩くための横断歩道に差し掛かった時、背後からバイクがやって来るのが見えた。突き当りで、右左折しか出来ない道には、一時停止線が敷かれている。今はどうか知らないが、一旦停止を怠る自動車やバイクを取り締まる警官が、よくその先の池の傍に潜んでいる、地元では有名な場所であった。
 飛び掛かり防止のため、犬を足に挟んだ状態で横断歩道を渡らずに待つ。軽く一旦停止したバイクが行き過ぎる。警官だった。もう一台来ているので続けて待っていると、彼は一旦停止したまま、我々に〝渡れ〟と合図した。
「犬が飛び掛かるので、後で大丈夫です。先に行ってください」と言うと、軽く会釈して二台目が我々の前を右折して行った。
 なかなかのイケメンに見えた。暗がりの街灯下なので、はっきり顔が見えたわけではないが、少なくともイケメンには見えた。動きがイケメンだった、と思った。
 気分良く家に帰り、この出来事を母に話す。
「でも普通、横断歩道の手前に歩行者おったら、一旦停止やけどな」
『………………。』
 そうだ。そうだった。母の言葉は正しい。ということは、二台目の行いは普通のことで、一台目がルール違反だったということか…?

 人間関係が希薄で、親しい友人ですら本当に親しいのかわからなくなるくらい、関わる機会がめっきりなくなっている昨今。出来れば密接にお世話になることはごめん被りたいと思っているせいでインパクトが強いだけかも知れないが、なんやかんやと我が記憶に足跡を残している〝警察〟という存在。色々気を付けよう…。

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