![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80484460/rectangle_large_type_2_6d5de6465964ebcb8f7a51e2d05e5b0d.png?width=800)
詩「雨」
雨の音
それは生命の音
降りしきる無数の雫は
大地に、その青草に
そっと優しく囁きかける
「お前たちは
そこで何をしているんだい?」
実際、雨は見てきたのだ
遥か大気の高みから
まっすぐに落ちてくる間じゅう
風を見てきたのだ
山を見てきたのだ
そして蒼々と茂る草木の
しっとりと濡れてゆくのを見てきたのだ
「私たちも同じなのだよ
ただ落ちるよりほかのない
ただ沁みるよりほかのない
そういう淋しい身の上なのだ」
雨の音
それは生命の音
僕は部屋の中で目を閉ざし
なおも雫が
大地に、その青草に
囁きかけ続けるのを聞く
「それでいい
お前たちはそれでいいのだよ」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?