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詩「群像」

知らずしらずのうちに
僕達のまわりにある幸福
僕達には完全な絶望はあり得ないということ
この世に完全な無があり得ないように

雨あがりの渓谷では
頂からの清らかな流れと
泥を含んだ濁った流れが
ひとつの奔流となって一途に下ってゆく

もう一歩も歩けないほどの疲れも
消えてなくなりたいほどの孤独も
僕達は必ず克服できる
何てことなかったと振り返る日が来る

僕達の諍いが永遠に続くとしても
人々が決して理解し合えないとしても
それはほんのうわべだけのこと
一番深い中心にはだれも届かない

こんなにも陽気な初夏じゃないか
新緑は目に痛いくらいだ
木蔭から見る明るい景色は
老いた心も若返らせるのだろう

倒れたものは立て直し
こぼれたものは拾い集め
そのように僕達は生きてきた
がらんとした地平だったあの日も



投稿は取りあえず今回が最後になります。(正直言って、ネタ切れです。)
今までお読みくださり、ありがとうございました。

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