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詩「願い」
美しい言葉を抱いたまま
海の底深く沈んでゆけるのなら
ほかには何も望むものはない
なぜならどれほどの言葉を尽くしても
人がつねに自ら携えることができるのは
ほんの僅かな断片にすぎないのだから
しかも言葉はひどいはにかみ屋なので
どんどん逃げていってしまう
真実を語ろうとしていつの間にか
空想、仮説、婉曲、追従、饒舌、皮肉、
などの嘘に姿を変えてしまう
泡沫のはかなさを嘆くよりも
深呼吸をして
夢の兆しを探るように
快い微酔に身をまかせたい
ごく軽い昂奮と
意識しないほどの戦きを心に秘め
静かな余裕のある祝辞を送りたい
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