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詩「大樹」

長い時を生きた樹は
優しい風を舞わせていた
豊かな陽の恵みを受けて
その光の色さえ和やかだった
この樹とは確かに
嘗て何処かで出逢っていた

学校帰りの子供達が
降り積もった落ち葉を踏みしめ
ほんとうに楽しそうに
自然と言葉を交わしている

季節が正しく巡るたびに
樹は幾度でも繰り返した
無数の葉を茂らせては散らし
逞しい根と幹がそれを支えた
何も語らず何も怖れず
力はいつもみなぎっていた

老夫婦が肩を寄せあい
温かなまなざしで見つめている
同じく堪えた者として
慎ましい安らぎの中に居る

きっと私にも
帰るべきところはあるのだろう
朽ちた葉の雨に打たれて
そのまま土へと帰るように

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