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『ヨルクラ』における感性のダイナミズムに抱かれて

見逃した……!

 録画し損ねてしまったんです。『夜のクラゲは泳げない』第1話。
 以前にちらっとどこかで告知を見た時に、絶対に自分の好きなアニメであろうということは分かっていたのに。女の子のキャラクターが可愛くて、なんだかビジュアルキラキラしていて、「好きだなあ」と思っていたのに。
 私は、「百合」が好きな人類です。女性同士の特別な関係性が生み出すエモーション。それをメインに感じることのできるアニメは、必ず録画するようにしています。2024年春。今季も、録画リストの設定を終え、抜かりなく百合を味わうことができる。そう思って安心していたのが今年の3月末の話です。
 しかし、私は最大の過ちを犯していました。すなわち、どういうわけか『夜のクラゲは泳げない』を録画リストに入れていなかったのです。
 『夜のクラゲは泳げない』第1話が放送されていたことを私が知ったのは、Twitter(現X)の反応を見てからでした。筆を折ってしまった女子高生が、暗い過去を背負いながらも彼女の絵を輝く糧としてきた女の子と出会った。そのエモーションにタイムラインの皆が魅了されているのを見た時、私は自らの過ちに気づいたのです。「録画してなかったぞ」と。
 そこにいたのは、急いで録画するも番組枠ラスト1分(すなわち全て番組終了後のCM)しか録画できておらず、再放送も放映されないことを知ってテレビの前で立ち尽くす私の姿でした。

ようやく第1話を観ました

 さて、悲しみにくれた私ですが、そんな時でも救済はあります。ニコニコ動画で第1話が配信されているんですね。いい時代です。

https://www.nicovideo.jp/watch/so43642922?ref=androidapp_other


その後もなかなか時間が取れず、ズルズルと観られていなかったのですが、晴れてこの度、第1話を視聴することができました。それで思ったのが、

納言、早く観なさい。

ボーっと生きてるんじゃないですよ。

反証納言、あなた大変な名作を見逃して放置してたんですよ。どうしてくれるんですか。

 
 素晴らしい物語が幕を開ける時の胸の高鳴り。花音さんが初めてクラゲの絵を見た時って、こんな感覚だったのだろうか、と。それくらいにキラキラしたを感じた作品でした。

 本作は「娯楽作品」であるのみならず「芸術作品」といえるでしょう。
 娯楽作品としての本作は、まるで深海の神秘を思わせるような画の美しさや、キャラクターの魅力はもちろんのこと、視聴者をその世界へ惹き込み手の上で転がすように展開する物語の魅力も極めて強いいえます。
 芸術作品としては、わずか24分の中に120分映画のような密度で演出フェティシズムが詰め込まれていて、そこには感性のダイナミズムがありました。過去と現在を同じ背景の中に描き出し、人物の視点や心境に応じてダイナミックカメラが動く。夜の渋谷の街明かりがクラゲを照らす光のごとく作用する。それらを通して観る視聴体験は、「物語」という大きなキャンバスに、「演出」という絵の具で下地を塗っているのを間近で見ているようでした。アニメでここまで目を奪われたのはもしかしたら久しぶりかもしれません。

 『夜のクラゲは泳げない』。第1話から、心を掴まれた作品でした。これから、後の話も楽しんでいこうと思います。これほどの作品、手元に置かなければ勿体ない。したがって、Blu-rayもぜひとも欲しいところです!


P.S.

 もちろん「JELEE」を応援して、見守っていきたいところではあります。しかし、クラゲの絵に被せる形でポスターを貼っていた自称アイドルみー子さんも、自分のパフォーマンスを中断させられながらも強いハートで頑張っていて、なんだか応援したくなるんですよね……!

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