宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-11

「そうよ。もともとは、民法第九百条の第四号に嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とするという定めがあったんだけど、これが撤廃されたの。平成25年9月4日に最高裁判所がこの条文について違憲決定の判断を下したのよ。それを機に、民法が改正されたの。今の条文はこうなっているわ」
 
民法
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
 
「ってことは、愛人の子供たちも平等に遺産を受け継ぐ権利があるということ? 」
「そうよ」
「従兄弟たちにとっては、たまったもんじゃないだろうな」
「それでも、子供からして見れば、同じ血筋を分けた兄弟なのに親が結婚しているかどうかだけで、相続で差別されるのは不公平だってことになるのよ」
「うーん。まあ、そんなものなのかな。それはとりあえず分かったけど、『全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹』ってどう違うんだ? 」
 建太郎が再び頭を抱えた。
「宅本健一さんのケースでは、静香おばさんが産んだ子供たちと、宅本春子さんのお腹にいる子との関係がそうよ」
「ああ。なるほど……。ってことは、静香おばさんの子供とあばずれ春子の子供とでは、相続分に差がつくのか? 」
「違うわ。そうじゃないの。宅本健一さんの遺産を相続する場合は、子供たちの間で、差がつくことはないわ。どちらの子供も平等に遺産を受け継ぐことができるのよ」
「じゃあ、第四号但し書はどういう意味なんだ? 」
「これは、兄弟姉妹の間で相続が発生する場合の話よ。仮に、静香おばさんの子供たちが全員存命だったとするわよ。春子さんの子供も生まれたとしてね」
「仮の話ね。分かるよ」
「将来、一番目の従兄さんが亡くなって……、もちろん、宅本健一さんも既に亡くなっているとしてよ。そして、一番目の従兄さんに、奥さんも子供もいなかったとする。すると、一番目の従兄さんの遺産は、二番目の従兄さんたちや春子さんの子供が相続することになるでしょ。そんなときは、春子さんの子供は、二番目の従兄さんたちに比べて、血縁関係が薄いわけじゃない。お母さんが違うしね」
「そうだな。そもそも赤の他人と言っていい関係じゃないか?」
「そんな時は、『父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする』つまり、春子さんの子供たちが受け取る分は少なくなるということなのよ」
「なるほど。そういうことか」

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