宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-22

「そのとおりよ。ここで頭に留めておきたいは、代襲相続のことね。例えば、建太郎に子供がいたとする。建太郎が相続放棄をした場合、建太郎の子供は代襲相続するのかしら? 」
 胡桃の問いかけに、建太郎は暫し考え込んだ。
 それから、六法をめくって、民法の代襲相続の項目を見た。
 
民法
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は相続人の欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
 
「ええっと。代襲相続が発生する場合は……、
 1、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき。
 2、相続人の欠格事由に該当した場合。
 3、廃除されたとき
 相続放棄した場合とは書いていないから、代襲相続は行われないってことかな? 」
「とりあえず、正解よ。迷ったら、民法の条文に当たるという姿勢は評価できるわ。でも、相続の放棄に関しては、常識的に考えて判断してほしかったな」
「常識的に? 」
「相続の放棄をするのは、どういう場合かしら? 」
「つまり、負債が多い場合だよね。見て見ぬふりをして放置していたら、いつの間にか自分が負債を背負わされていたら、たまったもんじゃない」
「そうよ。だからこそ、相続放棄をするのに、その後で代襲相続によって、建太郎の子供が負債を背負うことになったら、意味がないと思わない? 子供ばかりでなく、孫もいたら、大変だわ。家族全員で相続放棄をしなければならないってどう考えても、不都合でしょ? 」
「言われて見ればそうだな。俺が相続放棄した結果、子や孫に負債を転嫁させる形になるんじゃあ意味がないな」
「だからこそ、一度の相続放棄によって負債に対する防波堤としての役割を果たさなければならないのよ。相続放棄する人だけでなく、その子供や孫も守らなければ意味がないのよ。そう考えれば、相続の放棄をした場合は、代襲相続は発生しないって分かるでしょ? 」
「なるほど、よく分かったよ」
 建太郎が、宅建のテキストと六法を片付けようとすると、「ちょっと待って」と胡桃が遮った。

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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