宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-12

 納得した建太郎は、先に読み進めようとして、ふと思い出したことを口にした。
「そう言えばさあ。俺、伯父さんから、宅建に合格したら、養子にしてやるぞとか不動産を贈与してやるって言われたんだよね」
「もしかしたら、建太郎にも、遺産を分けてやろうというつもりなのかもしれないわ」
「まあ、本気かどうかは分からないけどさあ。仮に俺が養子になったとすると、伯父さんの遺産を相続できるの? 」
「もちろんよ。正式に養子縁組したなら、養子も実子たちと同様に遺産を相続することができるのよ」
「養子と実子って、相続分で差がつくの? 」
「つかないわよ。宅本春子さんのお腹にいる子と平等に遺産を受け継ぐことができるわよ」
「へえ……。そうなんだ。今の状況であれば、伯父さんの養子になれば、四分の一は俺がもらえるってわけか。四分の一でも、ものすごい遺産になるぞ……」
「建太郎。そんなこと考えていないで、宅建の勉強をするのよ! 伯父さんの遺産を受け継ぐにしても、宅建の知識くらい無ければ、不動産の管理ができないでしょ。だからこそ、伯父さんは、宅建に合格したらという停止条件をつけたのよ。停止条件って、意味分かるわよね? 」
「分かるよ。ある条件が生じるまでは、効力の発生が停止しているという意味だろう。確か、民法の……」
 建太郎は、パラパラッと宅建のテキストをめくり、民法の最初の方を開いた。
 
民法
(条件が成就した場合の効果)
第百二十七条 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
 
「そう、それよ。それじゃあ、解除条件っていうのはどういう意味か分かるかしら? 」
「つまりは、伯父さんが俺に不動産を贈与するけど、今年の宅建で不合格だったら、贈与契約の効力が消滅するってやつじゃない? 」
「そのとおりよ。どうせなら、解除条件を設定してもらった方が、建太郎も本気で勉強する気になったのかもしれないわね。だって、手に入れた不動産を取り上げられるとなれば、必死にやろうとするでしょ」
 胡桃がじろりと睨み付けてくる。建太郎は、安堵の息を付くふりをした。
「そうならなくてよかったぜ。この状況では、今年合格できるかどうか怪しいもん」
「今からでも十分に間に合うでしょ! しっかりやりなさい! 」
「でもさあ。胡桃の仕事を手伝わされてばかりで、勉強する時間が取れないんだよね」
「社会人なら誰でも、仕事の合間に勉強しているのよ。仕事と勉強を両立させなさい! 」
 胡桃が建太郎が頭をバシッと叩く。
「痛っ! 」
「条件の話が出たついでに、条件の条文をすべてチェックしておくわよ」

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