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何度でも読み返したいnote5

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。更新は終了しました(2024.6.10)。
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2023年11月の記事一覧

外国人の友達なんて一人もいなかった日本育ちの私がアメリカ滞在で体験できたこと

❏アメリカ暮らしも終盤へ 家族でアメリカ滞在を始めて2年弱。いよいよ来年明けに日本へ帰国することになった。ようやくこちらの環境にも慣れて英語でのコミュニケーションを楽しめるようになってきたところで最後はあっけない。もう頑張らなくていいんだなと思うと、ほっとする一方で少し寂しい気持ちの自分がいる。それでも日本へ帰ることのできる喜びは、それをも打ち消すくらいには大きくて。アメリカも楽しかったけれど、やっぱり日本は良い。 振り返ってみると、ものすごい勢いで色々な国の知り合いや

最後の晩餐は、願わくばウニ丼

どういういきさつだったのかはとんと思い出せないのだけれど、小学四年生の夏休みに祖母と二人で北海道旅行をした。 張り切った両親は、特別お小遣いとして一万円札を持たせてくれた。 当時月のお小遣いが400円で、お年玉だってほぼ千円、三千円ももらえたら超ラッキーだった私にとっては破格の棚ぼた。あまりの尊さに目がくらみそうで、宝箱として使っていた綺麗なお菓子の缶に大切にしまった。 この諭吉さえいれば、いつもは友だちからお土産をもらってばかりの自分が、ついにお土産をあげる側に回れる。

長い長いトンネルの先。

県境の長いトンネルを抜けると豪雨であった。 川端康成氏の『雪国』の冒頭をもじった文章が頭の中で浮かんだ。車外では稲妻が走り曇天の水平線へゴロゴロゴロどっしゃあああん!と落ちた。そして、そのできた閃光の道をかき消すように雨の束が降っていた。少し坂道を走ると、その喫茶店は地域にしんしんと根を張り建っていた。 私と母は、久しぶりに県を跨いでその喫茶店のピラフを食べに行くことになったのだ。しかし、途中から遠雷が聴こえて「これ、雨降るで。」とか言いながら車を走らせたら、案の定、長い