見出し画像

NUMBER GIRLを映画館で観る

去年、ナンバガの復活二発目のライブを日比谷野音で観た時から、僕の心はめちゃくちゃに沸き立ち、完全に「17歳の俺」に戻ってしまった。イヤホンから流れる爆音の中で、劣等感やら何やらあらゆる感情を掻き消すことしかできなかった17歳の俺に。

それ以来、もう一度ライブを!あわよくばライブハウスで!と向井秀徳のことを崇め続けていたわけでありますが、信仰心が足りなかったのかチケットは落ち続け、特攻!とばかりに申し込んだツアー地方公演もことごとく外れ、もはやYARUSENAKIO状態でやさぐれていたところ、舞い込んだライブビューイング。行かない手はない、と申し込むもまさかのウィルス騒動でライブ中止からの無観客ライブ配信決定。もうここまで来たのならどうにでもなれ、と結局映画館まで出掛けてじっくりと鑑賞してきた。

これだけ世間で何やかんやと騒がれていれば観客はあまりいないかもしれないと思っていたが、130人規模のシアターに客入り3分の1程度。恐らく3,40人くらいは入っていたので、わりかし寂しくはなかった。みんなきちんと片手にビールを持ちながら入場してくるので、少し笑ってしまった。

結論から言うと、やはり家で観るのとは違って、大画面と整った音響設備のおかげで迫力は十分。かなりの満足感があった。おまけにライブ映像自体も、無観客だからこそできるアングルの数々で、ライブだと観られないステージの様子などもわかってかなり新鮮であった。特にステージ正面から、4人に迫るカメラワークはかっこのよろし過ぎてめちゃくちゃに痺れた。

しかしながら、僕が観た会場はいまいち盛り上がりに欠けていて、手拍子はおろか曲終わりに拍手も誰もしない。もちろん、ヤジや歓声も上がらない。シーンとした会場で、ただただ次々と大画面に映し出される向井の小ネタの数々。それがひたすらシュールさに拍車をかけていて一人爆笑してしまった。まさしく、あれは異常空間Zであった。本当は、OMOIDE IN MY HEADのイントロでオイ!って思い切り叫びたかったさ。透明少女で踊りまくりたかったさ。そういう点では、家で観ていた方がまだ周りを気にすることなく、好き勝手出来たので良かったのかもしれない。会場によっては、かなりのノリの良いところもあったみたいなので、羨ましい限り。

ライブ自体はやはり完璧であった。何度もあまりのカッコよさにシートに深くもたれて、溜息を吐いてはニヤニヤとした笑いが零れた。そして、このライブがもしもライブハウスで観られたなら、もしもモッシュに揉まれることができたならと叶わぬ妄想ばかりが膨らみ、精神衛生上はあまりよろしくなかった。やはり、NUMBER GIRLを観るのに映画館は物足りないのだ。聴くなら絶対ライブハウスでしかないのである。

いつもの向井の「乾杯!」の合図で、高々とプラカップを掲げ、残しておいたビールを流し込み、ライブは終了。白昼夢のようなふわふわとした気分で帰路へと着いた。もしも、まだ次があると言うのなら、今度こそは絶対にライブハウスで轟音に浸りたい。その日までは、たゆまぬ信仰心のもと、向井秀徳を崇め続ける限りであります。異常空間Z!!