またね、ばいばい、おやすみ

 こんばんは。私高校の先生で、今日お休みいただいて自習を出してきたんですけど、生徒の様子が気になっちゃって、授業時間になるたびに学校で契約してるオンライン学習ツールで生徒たちがちゃんと自習に取り組んでいるか確認しちゃいました。ダメだよ、休みの日に仕事しちゃ。

 はのとです。初めまして。


 このタイトルに引き寄せられた人、ありがとう。なんのこっちゃの人もありがとう。昨日はBUMP OF CHICKENのツアー、be thereのファイナルでした。英語の先生だけど、be thereってどういう意味だろうってずっと考えている。今調べたら、普通に「そこにいる」って意味だった。そのままかい。いやいいのよ、そのままでいい意味なんだから、いいのよ。

 後出しとか内緒にするのもあれなんで、白状しますね。私、ド新規です。BUMPを聴くようになって1年も経っていない。なんなら、好きではあるけどファンとは言えない、みたいな立ち位置のつもりでした。本当にごめんなさい。


 大学時代軽音楽部に所属していた私。BUMPをカバーしたことだって何度もありますよ。だから、やった曲は知っていました。新世界とか。ベイビーアイラービュ―だーぜっ。大好き。

 「BUMPなんて、いいに決まってんだよな。」BUMP好きの同期に、私はよくこう言っていました。その同期、自分のすべてはBUMPでできているという感じの子で、よくこの曲がいい、あれがいい、これがいい、なんて語って聞かせてくれました。

 そしてその度に私は言うのです。「BUMPなんて、いいに決まってんだよな。」そう、分かってんの。聴けば好きになるってこと。BUMPがいいっていうのは、もうなんというか当然のことなんだよな。聴かなくても分かんのよ。それくらい自明なの。自明だから、聴かなくても分かってるから、という気持ちでずっといました。


 そしてそんな会話をしてから1年後。私は同じことを、今度は別の子にいいます。その子は当時は部活の後輩で、今は恋人です。「BUMPなんて、いいに決まってんだよな。」まだ付き合う前の距離感。もうちょっとで付き合いそうな、いい感じの距離感。その子が「これとこれとこれとこれ合宿でやるので、聴いといてください!」なんて言うものだから、まんまと聴いたよね。

 それが、「宝石になった日」「宇宙飛行士への手紙」「プラネタリウム」「流れ星の正体」。最初は惰性で聴いていたはずなのに、気付くと熱中していて、大好きな曲たちになってさ。自分の言葉が返ってくるわけ。「BUMPなんて、いいに決まってんだよな。」本当にそうだった。いいに決まってた。

 数週間後、恋人同士になった私たちですが、そのさらに数週間後、合宿が終わったその日に熱を出し、我々は仲良くコロナに感染するわけです。なんでやねん。合宿には50人で行ったのに、なんで特に一緒に行動していたわけでもない私たちの単独感染なのよ。なんてことは今はどうでもいいのだけれども。


 もうね、本当にしんどくて。誰にも会えないし症状は辛いし、一人でずっと耐えるには長すぎる時間。でも、しんどくて24時間中20時間は寝ていたんじゃないかってくらいのくたばり具合。起きてる時間はメンタル的にもしんどくて。だから私は、同じように苦しんでいる恋人に、こんなお願いをしました。

「好きな曲、プレイリストで送って。元気出すから。」

 そうして送られてきた曲の中にあったのが、「セントエルモの火」でした。屈指に好き。まだそんなにたくさんの曲は知らないけど、すごく好きだった。


 そんな感じでBUMPに少しずつ惹かれていった私。でもね、なんかもうたぶん怒られた方がいいんだけど、私は曲を聴くときに、バックで鳴っている楽器の音にばかり気を取られてしまう癖があります。だから、基本的にいつも聴いているお気に入りの曲でも、歌詞がちっともわかりません。本当に。BUMPに惹かれていったとは言いつつも、醍醐味かもしれない歌詞は、ほとんど何も把握できていないんです。

 運命的に惹かれたセントエルモだってそう。惹かれたのは、最初の、っていうかずっと鳴ってるギターのアルペジオですね。そればっかりに気を取られて、なんか、明るいはずなのにどこか寂し気で、でも前向きな感じの曲調。そういう認識。だからさ、困るわけよ。たまたま耳に入ってきた歌詞がさ、

靴ひもを結びがてら少し休もう
どうでもいいけどさ 水筒って便利だ

セントエルモの火/BUMP OF CHICKEN

 ええ、え、あまりにもどうでもよすぎるのではないか。さすがに、本当にどうでもいいんじゃないか。結局今も、この歌詞が何を意味しているのかは分かりません。だって、この曲ここしか歌詞分かんないから。


 ほらね、これは私の悪い癖なんですけど、本題に入るまでが長い。長すぎる。私とBUMPとの出会いなんてどうでもいいね。本当にどうでもいい。つまり何が言いたいかって言うと、昨年の秋頃? に恋人にBUMPのライブに誘われて、有明全滅して、最終的にたまアリのオーラスを当てたってことです。


 apple musicにある「はじめてのBUMP」みたいなプレイリスト聴いて、それとは別のまとめたプレイリストも聴いて、この間からはライブ定番曲を調べて知らないやつをまとめて聴いて。そこでsupernova初めて聴いた。何やってんのよ。

 結局ね、セントエルモがかなり好きでね。あとは宝石になった日と宇宙飛行士への手紙。後者2曲は部活のライブで恋人がやっていて大号泣したこと、合宿で大きなトラブルがあって、泣きながら解決しようと切磋琢磨したことなど、私情で付加価値がついてしまっているので、まあ納得のランクインではあります。

 それから、新世界も大好き。ベルも好き。snow smileもかなり好き。彼女と星の椅子も好き。なんて言っていったらキリがないけど、そんなことを恋人と話していた3月頃。言われました。「セントエルモは難しいからライブではやらないんだよ」そんな。

 そう思って自分のギターをノリノリで半音下げにして練習してみたら、確かに人間のなせる業ではなかった。いや、それは言い過ぎかもだけど、どのパートを藤くんがやんのかは知らないけど、ちょっときつそうだなさすがに。と身をもって感じ、納得しました。

 代わりと言っては何ですが、宝石になった日の練習を初めて、弾けるようになりました。もともと担当楽器はキーボードなのでギターは本当にちょびっとしか弾けないんだ。でも、イントロのギターのフレーズが好きだから、一生懸命練習した。新社会人なのに。


 そんなこんなで、BUMPに人生を救われてきた恋人と、そんな恋人に誘われたという安直な理由の私は、さいたま新都心駅に昼頃到着し、グッズを買い、フォトスポットは諦め、ツアートラックを見、コクーンのジャンショで私が大騒ぎをし、遂に開場時間になりました。

 この時にはもう、私だってテンション打ち上がり。BUMPは初めてだけど、これでもたまアリは人生で4回目。高校生の頃は月に一度はライブに行っていたくらいの元ライブキッズ(?)。コロナ禍で控えていたから、たまアリは5年ぶり、フェスじゃなくてワンマンっていうのはもはや7年ぶりとかだったのもあって、うきうきでした。

 そしていざ席に着くとさ、なんかそわそわして落ち着かないの。考えてみたら、今私、転入生の気分だって気付いた。普段と庭が違いすぎる。私がメインで好きなのはELLEGARDENだからさ、BUMPの客層とはもう大違いで。真逆とは言わないまでも、曲の雰囲気も大きく異なるし、ファンの方々の空気感も全然違う。なんか落ち着かなくてそわそわ。

 それに、チケットがとりにくいことも知っているし、ファンである以上BUMPにただならぬ熱い想いを持っている人がたくさんいるわけで、そんな中で私、ああライブに来るには動機が軽すぎるなあと、ちょっと肩身が狭かった。恋人はずっと「そんなの気にしなくていいのに」と言っていたけど、よそ様のライブに参加は、身体ちっちゃくなるよ。


 そんでライブ始まるでしょ。もうね、まだ曲始まってないのに、藤くんという存在への解釈違いで戸惑ったけど、でも、想像していた藤くんという人間よりも、実際の方が好きだった。解釈違いではあったけど、とても好きだった。引き込まれた。

 BUMPってもっと丁寧で格式高いイメージがあったけど、いい意味で適当な部分もあって、言葉遣いもあんまり綺麗じゃなくて、ああ、好きだなあなんて思っていたわけです。私は何を言っているの?

 一曲目のアカシア。イントロのベルみたいな音が聴こえた瞬間に、「あ、音源でいっぱい聴いたやつだ、本物だ」って思って泣きそうになって。でも、ここでもいらん自意識が邪魔して、「ド新規の私が泣いてはいけない」と歯を食いしばりました。私は何をしているの?

 知らない曲はなくて、最後まで知っている曲しかなくて、ずっとずっと楽しくて世界観に巻き込まれて、手を振るのも声を出すのも忘れてじっと聴き入ったりして。あ、大好きな新世界の「ベイビーアイラービューだーぜっ」ができたのは嬉しかった。楽しかった。

 言語化するのは難しい。でも、藤くんが、BUMPが、今まで27年間応援していたファンの1人1人全員を大切に想っていることがすごくすごく伝わってきて、なんか、素敵な空間だなあって思ったよ。「きみが」って、個人に話しかけているようなMC。ずるいなあって、思った。


 いい話をしていても、やっぱりどこか他人事というか、「ここにいる人たちは、こんな藤くんの言葉に救われてきたんだな。ここにいる人たちは、こんな藤くんの支えになっていたんだな。」なんてどこか思っていて。他人事みたいに。他人事だったのに。

 気付いたら泣いている自分がいて。ダメだよ、私が泣くのはお門違いだよ、もっと涙が相応しい人がたくさんいるのに、私が泣いちゃダメだよ。そう思っていても、堪えられなく。藤くんの強い想いがさ、もう、ばこーーーーーーーーんって心臓を撃ち抜いてくんの。やめてよ。


 終わりかと思ったら、「最後にもう一曲だけやろうかな」って。何やってくれんのかな、藤くん1人で、アコギじゃなくてエレキなんだ、最後だし、バイバイサンキューとか、ベルとかどうかな、Auroraもいいな。そんなことをぼやっと考えていてさ。そしたら、綺麗なブリッジミュートと一緒に聴こえてきた。

「踵が2つレンガの道」

 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 ダメだってば。それは本当に、ダメだって。私、共感力がバカ高くて、ダメなんです。恋人がね、この歌、本当に大切にしていて、私にとっても想いで補正でとても大切な曲だけど、そんなこと比にならないくらい恋人にとってはもっともっと大切な曲で、大好きな曲で。

 そんな曲を、最後に、特別に、聴けるなんて。もう、記憶に何も残っていないくらい大泣きをしました。全部終わってメンバーが捌けて暗転が戻って隣を見たら、真っ赤な目をこすっている恋人の姿。それを見てさらに泣いてしまいような私。何してんの本当に。


 そうして今日休みをとっていた私の家に帰ってきて、知性の欠片もない感想戦をしながら眠りにつきました。朝起きても、まだ夢見心地。本当に、私は昨日BUMPのライブを見に行ったんだ。そっか。そうなのか。恋人とで会っていなかったら、こんな素敵な気持ちになることもなかったんだ。よかった、BUMPに出会えて。

 今度は、自分事としてライブを、MCを楽しめるように、自信をもってファンだって言えるように、もっとたくさんBUMPのこと知りたいな。もっともっと、色んな曲を聴こう。そう思いました。

 そして、安直に「藤くん…!!」という気持ちになってしまった。落ちた。完全に落ちた。ちょろいな、私。


 またね、ばいばい、おやすみ。

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