大学4年生冬、新しい友だちができる

 こんにちは。もうすぐ年末ですね。もうすぐ年末? もう年末? 分からないけど、来年の抱負とか考えようかな。あ、私もうすぐ22歳になるんで、22歳の抱負を述べます。そうですね、風邪を引かない、発声障害を直す、の2本立てで。幸せになる、は大前提なので抱負にはしません。何言ってるの?

 はのとです。初めまして。


 私は教員志望で、教育学部ではない学部で教職課程に登録し、卒業要件に含まれない単位を無限に取得しながら大学生活を送ってきました。晴れて来年度から高校の英語の先生になるわけですが、教職課程の授業では、志が同じ同期がたくさんいて、週に1度、多くても3度授業で会うのみですが、一緒に頑張ってきました。

 高校英語、中学英語、小学校英語、校種も都道府県もバラバラですが、仲の良い同期たちは揃って採用試験に現役合格し、みんなで春から始まる生活に備えて情報共有をしているところです。


 話は変わりますが、私は付き合いが悪いことで名をはせています。家が大学から2時間離れたところにあるからです。はるばる通っているので、授業が、用事が終わったらとっとと帰りたい。休日にわざわざ大学に来て飲みにだけ行きたくない。それが信条です。

 で、教職の同期たちは、結構揃いも揃って家と大学が近くてね。羨ましいことこの上ないですが、そんなこともあって、仲間うちで飲みに行ったりとかよくあるみたいで、私も何度も誘われてきました。

 で、その度に正直すぎる理由で断る。「帰りたい」「明日朝早い」「最近忙しい」「寝たい」「これから部活」とかね。全部本当。嘘はつかない。正直だから。そんな私のことをみんなは分かってくれているので、そんな風に接していても4年生まで仲良くしてくれました。


 それでさ、採用試験が終わって結果が出そろって、この辺はみんな受かったんだねすごいね、なんて話をしていて。そしたら、仲でも1番付き合いの長い子が、「でさ、はのとはいつになったら飲みに行ってくれるわけ?」と質問を投げてくるわけです。

 その頃には私のあまりにも多過ぎたto doは部活以外に何もなくなっていたので、まあ卒論がありますが、そんなものは大真面目に生きている私には造作もないことなので、とにかく遊びたい気持ちで溢れていた私は、「先に言っておいてくれれば空けられる。突然言われたら帰る。」と返し、ついに、4年越し? 3年越し? に予定が立ちました。

 4年間さ、長距離通学、教職課程、部活、勉強、と、致死量の活動をこなしていたのでね、私は。教採が終わったら何したい? に具体的な答えは返せません。じゃあ何をしたいかと言うと、それは一択。遊びたい。抽象的だけど、幅広いけど、ただそれだけ。それに尽きるんです。

 だって、今まで大学の友だちと遊んだり飲みに行ったり、みたいなことは一切なかったからさ。一切は言い過ぎた。それでも、年に2回とかそんなもん。多忙極まりなかった。息抜きは、これも大変と言えば大変だけど、部活だけだった。大好きな音楽を大好きな仲間たちとやる時間だけは、将来とか勉強のことを忘れて思いっきり楽しめた。

 だから遊びに対してエネルギーが余り余っていた私は、ついに教職の同期たちと飲みに行く予定を立てることに成功したのです。やったー。


 でさ、ついにその日が来て、夕方の授業で講演を聞いてさ、それが終わってみんなで飲みに行くの。で、衝撃の事実に気付いた。今まで友だちの友だちとして認識していて、なんとなく話とかしづらい、若干お互いに気まずいみたいな距離感の子が1人いる。そしてなんと、知らない子もいる。

 なぜ?????

 まあでも、そんなもんか。想定内の人たちだけではなく、想定外の人たちまでいました。びっくりしたけど、なんでいるのなんて聞けないし、向こうからしたら私がなんでいるのだし、なんとなく焦りながら居酒屋に向かいました。


 私は大好きなビールを頼み、各々お酒やソフドリを頼んで、乾杯。炭酸は大の苦手ですが、ビールだけはとっても美味しいです。でも、炭酸が苦手なので最初の1杯、お腹がぺこぺこの状態でしか飲めません。損だ。

 で、なんかもう、知らない子が隣に座っているので、6人で飲んでいて、自分除いて5人のうち2人喋ったことのない状況に大焦りしたので、隣に座っていた1番付き合い長い子に、小さい声で勇気を出して尋ねました。

「隣の子、名前何?」

 するとそいつ、驚くことに、

「やばい、そう聞かれると答えらんない」

 と。いや、なんてこったパンナコッタすぎるさすがに。この子、この場にいる2人から知られていない。でも反対に、あの子たちはこの子と仲良さそう。どういうことだ。これはいったい、誰がどういう意図でセッティングした飲みなんだ。


 というわけで、私たちの飲みは合コンのように自己紹介から始まることになりました。そうそう、この場、女5人に対して男1人です。異性が苦手な私にとっては、おい男1は空気読めよ、と思いましたが、その言葉はきちんと飲み込みました。

 まずはこの場にいる全員と友だちである子がご挨拶。名前、校種、サークル、趣味、とか。まずその子、私も友だちなんですけど、すごく仲いいとかではなく、授業で一緒になれば普通に話すくらい。だから趣味とかサークルとか知らなくてさ。

 聞いたらどうやら邦ロックが好きらしく、何が好きなのかと聞いたら、最初に「ヘイスミって分かる?」って聞かれて。「分かる!! 割と好き!!」と返すと、「ヘイスミで通じる人大学に入って2人目!! すごい!!」と大盛り上がり。知らなかった、そうだったんだ。私も邦ロック好きだから、びっくりです。

 次の子。ハーフの子なので、一度聞いたら絶対に忘れない名前。顔もそう。授業で何度も一緒になっているけど、学科も違うし関わることなくて。顔合わせるたびにお互いに知らないフリしてたけど、話してみたいなってずっと思ってた子。

 趣味とか全然共通のものはなかったけど、底抜けに明るくて元気でパワフルで、一緒にいるだけで元気出そうだなと思った。コミュニケーションは大の苦手ですが、頑張って質問とかして、普通に話せるようになりました。向こうも「はのとちゃんと話してみたかったの!」と言ってくれて、とっても嬉しかったです。

 次、隣に座っていた1番付き合いの長い子が話し、まあその子のことはだいたい知っていたので、特に驚くこともないまま終了。

 そして私。名前、校種、部活は軽音楽部で、趣味は音楽と漫画とお笑いです。あ、昔空手やってた。あと、女子校出身なので、異性は基本的に若干苦手です。

 なんて最後にいらない一言を足しましたが、私ってばそういうとげのあることを言っても、そういう子だと認識されているので、ギリ許されます。本当は許されてないんじゃないの? それな。

 でもね、まあ異性が苦手な理由はちゃんとあって、なんとなくとかではないので、別にいいんです。その場にいる唯一の異性に嫌われても。話しにくいって思われても。女の子たちは笑ってくれたし、ギャグで済ませてくれたのでいいです。ごめんなさい。

 女子校とうワードは結構意外だったみたいですが、「だから男子と全然話さないんだ」と、合点がいったようでした。バレてたか。女子校ってどんな感じなの、みたいな質問がたくさん来て、とっても楽しかったです。

 そしてたった1人の男子がさらっと自己紹介をし、最後、全く知らない子、隣に座っていた子が自己紹介を始めました。

 どうやら学科が違うみたいで、そりゃあ授業で会わないよな~と。すごくいい子そうで、穏やかで優しい雰囲気が漂っていました。地元が遠くて、一人暮らしをしているらしい。春からは私と同じ地域で中学校の先生をやるみたいです。

 どうしてこっちに引っ越すの? と聞くと、「彼氏がそっちに住んでて」だってさ。素敵!!!!! 基本的に人の恋愛には興味ないですが、そういう話をあまりしなそうな子から突然そんな言葉が飛び出してきては、私のテンションも爆上がり。いいね~。素敵。本当に素敵。


 そして一通り自己紹介をした後で、「来年から色々分かんないこととか聞きたいから、連絡先交換しない?」って一人の子が言ってくれて。「今日の目標ははのとちゃんと連絡先交換することなの!」って。嬉しい!! 可愛い!! テンション上がって、心情がそのまま言葉になってしまいました。

 そこでインスタを交換して、ラインじゃないところが現代人っぽいななんて22歳の分際で何を言っているんだということを思いつつ、その流れでその場にいた男子1人以外と連絡先の交換に成功。私の友だちが増えたわけです。


「大学4年の冬になって、まさか友だちが増えるなんて思ってなかったな。」


 私がそう言うと、みんな嬉しそうに笑ってくれました。そんな、穏やかで温かい空間が、とても心地よくて。初対面とかあまりしゃべったことがない人がいると、緊張とかで居心地の悪さを感じやすいのですが、それでも、みんなが夢を叶えたこの集団は、とてもいい場所だな、いい居場所になりそうだな、と思いました。


 私、友だち、できた。

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