大人になったら飲みに行こうね、が現実になった

    こんにちは。キーボードのタイピング音が激しいって言われた。ストレス溜まってんのかな、ってふざけて返したら、きっとそうだよ、と言われた。え、ごめん。

    はのとです。初めまして。



    20歳10か月のころ、人生で初めて、お外でお酒を飲みました。20歳もいよいよ終盤にして、初めて。それまで家で家族や友人とかでしか飲んだことなかったのに、お店で。おしゃれな名前のお酒を。まじか。

    お相手は、母と同い年のおじさん。聞いてほしいんだけど、やましいことは一切ないからね。それだけは本当に分かってほしい。高校生のとき、ひょんなことから出会ったおじさん。いや、具体的に説明しようか。


    私には、大好きなアーティストがいました。アーティストというか、キーボーディストです。キーボーディストなので、Kさんとしましょう。彼が、あるライブハウスで演奏とトークのイベントを開きました。行きました。

    そこで出会いました。おじさんは、ライブハウスを運営する会社の社員さんでした。イベントの進行とかをしていて、Kさんと2人でのイベント、という感じ。

    私のお目当ては、言うまでもなくKさん。何年も前からずっと大好きで、憧れで、そんな彼にライブ以外で初めてお会いして、しかもすっごい距離近くて、さらにはお話する機会すらあって、私はパニックになって大号泣しました。隣にいた友だちにあやされながら、なんとか言葉を紡いで気持ちを伝えてっていう、かなり痛いタイプのあれでしたね。

 そんな私に、Kさんをお目当てに来た私に、笑顔で話しかけてくださったのがそのおじさんでした。演奏のときには、彼のキーボードに合わせてサックスを演奏されて、その音に惹かれるのに、そう時間はかかりませんでした。

 Kさんの演奏を聴きに来たのに、私はそのおじさんにも惹かれて帰ってきたのです。そしてね、おつかれさまでしたありがとうございましたのメッセージをTwitterで送ったら、すごく丁寧に返してくれたんです。それが嬉しくて、私はそれ以降のイベントでお会いするたびに、お手紙を書いたりメッセージを送ったりしていました。

 学年が上がって忙しくなって、Kさんも人気が出て忙しくなって、イベントは終わってしまいました。だから、私とおじさんを繋いでいた唯一のものがなくなってしまったんです。Kさんには、別アーティストのライブで会えます。会えるというか、音楽に触れることができます。バンドメンバーとしてライブ活動を行っているから。でも、一般人であるおじさんには、もう一生会えないかもしれない。


 とてもとても寂しくて。おじさんはね、私がイベント中にトラブルに巻き込まれたときに、直接伝えた訳じゃないのに、大丈夫? 何かあった? と連絡をくださったんです。それ以外にも、助けていただいたことが何度もありました。

 将来の夢の話をすると、応援してくれました。恋愛の話をすると、アドバイスをくれました。私にとってそのおじさんは、親戚のおじさんに近いような、近所のにーちゃんに近いような、そんな感覚だったと思います。

 まともに感謝も伝えられないまま、忙しさで最後のイベントにも行けず。それでもこの縁は大切にしないと、と思って、誕生日とかの節目で連絡をしました。そのときだったと思います。


「はのとちゃんが二十歳になったら、お酒を飲みながら、昔話をしましょう。それまで元気でね。」


 言葉が出てこないほど嬉しくて、その言葉を胸に受験勉強に勤しみました。大学に合格して、大学生になって、ハタチになるまでもう少し。お酒が飲めるようになるまでもう少し。そんな風にドキドキしながら、毎日を送っていました。

 2020年。私はついに、ハタチになりました。でも、おじさんとの約束は果たせませんでした。それどころか、誰ともお酒を飲みに行けない。外食ができない。そんな状況になって、苦しくて、苦しくて。


 なんか過去の話が長すぎますね。割愛します。2020年最後の日、私は「このご縁だけは切らしてはいけない!」と思って、意を決して連絡したんですよ。来年もお願いしますって。そしたら、「もう連絡とれないと思っていたから、すごく嬉しい。」と言って頂けました。私の勇気に乾杯。

 そんなこんなで、その日、ようやく夢が叶った。待って待って待って、ほとんど一年越しに、私は願いを叶えた訳です。当時は感染者数めちゃくちゃ少なくて、だけどいつ増えるか分からないし、もう今しかないと思ったんですよ。だから勢いで連絡して、快諾していただいて。


 久しぶりに会ったおじさんは、4年ぶりのおじさんは、相も変わらず元気いっぱいのエネルギッシュな方でした。見た目はほとんど変わっていなくて、優しい瞳も変わっていなくて、とっても安心したのを覚えています。

 お店を予約していただいていたので、オープンな雰囲気の居酒屋に行きました。居酒屋デビューでした。お酒の名前も分からなくて、料理の名前すらも分からなくて、「チーズ好き?」「お肉食べられる?」なんて一つ一つ確認させてしまったことは一生申し訳ないです。

 飲んだお酒は、もう具体的な名前は覚えてないけど、カクテルだったと思う。ピーチ系だったかな。甘くてお酒の味しなくて、初心者でも美味しく飲めるお酒でした。量はあまり飲まなかったかな。でも、何よりも、高校生のときに出会った、大変お世話になった大人の人と、こうしてお酒を酌み交わしている。その状況が、私にとっては何よりも幸せでした。

 当時に戻ったかのように、色々なお話をして。空白の期間を埋めました。おじさんはさ、やっぱり学生と比べると人生の変化が少ないじゃないですか。それでも、向上心の高い活力のあるおじさんには、結構変化がありました。すごい。私もそんな大人になりたい。

 泣き虫だったJKは、無理難題みたいな大学受験を突破して大学生になり、成人になり、部活では副部長を務め、教員として働くために勉強をするようになりました。女の子の成長は早いね、なんて、でも、いい意味で変わっていないね、と笑ってくれました。


 ああ、このエモさ伝わるかな。「大人になったら一緒にお酒を飲もう。」こんなの、叶う? だいたい、大人になったころには忘れていて、関係も薄くなっていて、みたいなのがオチじゃない? そんなことないかな。

 だから、実現したことが未だに信じられない。なんなら今年に入っても、ZOOM飲みをしました。感染者数が増えていたことと、私が実習を控えていたことが原因です。でも十分だったな。楽しかった。たくさん話した。

 おじさんは、いつまでも私の相談に乗ってくれる人です。娘のことのように思っている、と言ってくれていました。おじさんには娘さんがいらっしゃいます。自閉症で、素直でとっても可愛い、お父さん大好きな娘さん。第二の娘にしてもらうなんておこがましすぎるけど、そう思ってもらえることは、私にとっても嬉しいことです。


 夢を叶えることは簡単じゃない。でも、どんな些細な夢でも、叶うと、言葉にできない気持ちに包まれます。今回のこともそう。今回っていうか、だいぶ前のことではあるけど。言語化できなくてずっと記事にできなかったけど。

 私は今、人生の岐路。帰路? 大事な時期。教員として働くための、まじのラストスパート。失敗したらラストスパートが一生続くわ。うける。まあそんなことは置いといて、とにかく大事な時期です。

 だから、ちゃんと夢を叶えて、私の成長した姿を、またおじさんに見てもらえるように頑張るよ。これはもはや、モチベの一つ。合格のモチベの一つです。頑張っちゃうぞ。


 ブログなんか書いてないで勉強しろ。やめて怒んないで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?