いつの間にか、手段が目的になっていた。

 こんばんは。最近いい感じだと思っていた子がいたんですけど、この間サシで飲みに行ったら、「そもそも好きな人がいない」と断言されてしまい、自分の自惚れに嫌気が刺しました。笑ってください。笑ってくれ!!!

 はのとです。初めまして。


 知る人ぞ知ることですが、私は教員を目指しています。高校の英語の先生です。先生には、小学生の頃からなりたいと思っていました。当時は簡単です。目立ちたがりの私は、いつも前に立ってマイクで話す先生を見て、いいな~私もマイクでみんなの前で話したい、と思っただけです。

 その後も、私はいい先生方に巡り合って生きてきたので、先生という存在がずっと大好きでした。一度抱いた、先生になりたい、という夢は、特に捨てることもないまま中学、高校と過ぎ、進路を決定する時期には、教員になりたいと思っています、と担任の先生に告白していました。

 だから、教員免許が取れる大学に進みました。英語を学びながら教員免許を取ることは、決して簡単ではありませんでした。多忙で3回くらいは生死の間をさまよいました。なんなら多分生きる屍でした。

 でも、ずっとずっと、小学生の頃から、私は先生になりたかった。その想いは人一倍強い。一倍どころか、七倍くらいは強い。そう思って、根性で、先生になるために色々なものを犠牲にしながら必死に勉強してきました。


 先生を目指して、いいことたくさんあった。同じところを目指す志の高い友人が何人もできた。英語教育が専門の先生と仲良くなって、色んなことを学べた。というか、普通に教養が増えた。人の気持ちを考えて行動できるように少しはなった。先生を目指しただけで、人間性が少し磨かれた。です。

 悪いことは、そうですね、就活のことを全く知らないってとこですね。社会に出る気が全くなくて、最初から教員一本だったので、就活なんて一切考えていませんでした。記念受験に大好きなジャンプを発行している集英社にES出しました。通りました。それが、私の唯一の就活記録です。


 悪いことはそんな感じかな。いいことの方が圧倒的に多い。教採のためにたくさん勉強して、実際少しは頭よくなれたと思うし。勉強して教養が増えたことは、私にとっても嬉しいこと。


 そろそろ筆記の一次試験だけじゃなくて二次試験のことも考えなくちゃなって思って、対策を始めました。大学の先生が、一次に受からないと二次はないんだから、まずは一次を確実に突破できる力を身に着けなさい。本気で教員を目指しているのなら、面接は大きな問題ではないよ。そう仰っていたから。信じてた。

 というわけで、いい加減二次対策を始めました。まずつまずいたのは、小論文対策。私ってば大学受験も指定校とかじゃなくて一般受験だし、小論文なんて人生で一回も書いたことがありません。困りました。ただのレポートと違って、文字書けば評価してもらえるものではないらしいです。びっくりだ。

 相対的に点数の割合が高い訳ではないのが唯一の救いですね。一応書いて対策はしているというか、書くことに慣れるように頑張ってはいるけど、小論文って正解が分からない。ポイントとか解説読んでも、うん、で? ってなってしまう。私、国語の偏差値40超えたことないんですよ。読解力ゴミなんです。

 だから、もう分かんないけどとりあえず書いている。正解は分からないけど、自分の文章が不正解であることだけは分かります。困りましたね。まだまだ頑張らないといけないらしい。


 さて、論文対策は進んできたというか手を付けることができてこの先も続けていこうというところまで来たので、いよいよ面接対策に入りました。さっきです。まじでさっき。数十分前。

 まずは過去問を見て、質問を自分で読んで、答えを喋って録音してみました。即興で答えることに慣れたり、自分の話し方を客観的に知った方がいいと思ったからです。とりあえず、高校英語の人が聞かれたっぽい質問にだけ答えてみました。

 思ったより答えられなかった。いや、答えられた部分もありました。こういうときどうする? とか、これについてどう思う? とか、そういう、自分の考えだったり知識だったりを使う問題。私いっぱい勉強したから。でもさ、勉強不足だった全く分からないものには対処しようがなかった。ここは分からなかったときの答え方もちゃんと練習しとかないと、と思いました。


 でね、気づきたくないことに気付いてしまった。自分のことについて、答えられない。


 どうして先生になりたいの? 先生になってやりたいことは? 理想の先生像は?


 答えられませんでした。すぐには。本番では許されない、沈黙を作ってしまっていました。まじでやばい。笑えない。

 でも、私は先生になりたくてずっと生きてきた。人生の半分は先生を目指してきた。大学生活もほぼそれに捧げた。みんな知ってる。私が先生になりたいの。ずっと先生になるために頑張ってきたの。

 そのはずなのに、言葉が出てこない。あれ、私って、なんで先生になりたかったんだっけ。どんな先生になりたかったんだっけ。何がきっかけだったんだっけ。

 一次の志願書に書いた志望動機はわりとちゃんと書けたと思います。時間をかけて考えたから。こういう先生になりたいって。でも、それを書いたはずなのに、質問としてその場で飛んできたとき、私は何も答えられませんでした。


 私、なんで先生になりたかったんだっけ。忘れちゃってた。何かがしたくて先生になりたかったはずなのに、目的を達成するための手段として先生になりたかったのに、いつしか先生になることが目的になっていた。目的のための手段だったはずが、それ自体が目的になってしまっていた。

 気づきたくなかったな~。私、誰よりも先生になりたい気持ち強いと思ってた。どうしても先生になりたいって、そう思ってた。てか、そうだったんだよ。そうだったはずなの。なのに、おかしいよ。いつからこんな風になってしまったんだろう。


 最近好きで追っている漫画に、『恋人以上、友達未満』っていう作品があります。ジャンプ+で連載されている、まだ1巻が出たばっかりの漫画です。主人公の子がね、女優を目指していたんだけど諦めちゃったの。ネタバレ含むから、見たくない人はこの先読まないでください。


 主人公の女の子がね、最新話で言ってた。先週更新された最新話で、ちょうどその話をしてた。どうして女優になりたかったのか忘れてたって。人の心を動かしたくて女優になりたかったのに、いつの間にか、女優でい続けること自体が目的になってたって。

 それ、私じゃん。何かを成し遂げたくて先生を目指していたはずなのに、気づいたら、先生を目指すことが目的になっていて。先生になることがゴールになっていて。

 こんな上辺なんじゃ、適当に教員志望している人たちと一緒じゃん。だめじゃん。全然コーナーで差つけられないじゃん。頑張って思い出さないと。どうして先生になりたかったんだっけ。いつからだっけ。思い出して、私。

 このままじゃ、自信も失い、罪悪感と共に二次に臨まなくてはならないくなる。まあ一次通っているかもまだ知らんのだけど。


 ちょっとネガティブなことを書いてしまいましたわ。私としたことが。大丈夫。明日明後日あたりにはしっかり自分の気持ちを整理して、ちゃんと立派な動機を引っ提げて面接練習再開しているはず。大丈夫だから。


 大丈夫。だって、大学から奨学金もらえちゃうくらいお利口なんだから。大丈夫。

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