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2024年6月13、14日の金融政策決定会合 国債買入れ減額(QT)

こんにちは。飯能高校探究部部長のギンです。
今回は、2024年6月13、14日の金融政策決定会合について話していきたいと思います。


当面の金融政策運営について

短期金利

無担保コールレート(オーバーナイト物)を0〜0.1%程度で推移するよう促す。
短期金利は3月会合でマイナス金利を解除してので現状維持で0〜0.1%と予想されていたので予想通りでした。
0〜0.1%から短期金利を引き上げたら短期プライムレートが上がってしまうので変動金利型住宅ローンの金利が上がってしまいます。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240614a.pdf
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240614a.pdf

国債買入れ

長期金利がより自由な形で形成されるよう、長期国債買入れを減額していく方針が決定されました。
市場では具体的な減額内容が出てくると予想されていたため、予想よりも慎重な内容でした。
また、買入れ額減額の具体的な計画に関しては次回、7月会合にて今後1〜2年程度の計画を市場参加者に意見を確認して決定するとのことでした。

植田総裁の会見

『7月会合までの情報次第で短期金利の引き上げは「当然」あり得る』や『国債買入れ減額は「相応」の規模になる』とかなり食い気味に言っていたので思ったよりタカ派の発言でした。

https://x.com/Min_FX/status/1801528592846962788

市場の反応

株価

声明文が発表されると予想よりハト派的だと受け止められ株高に行きました。
しかし、総裁の会見が行われるとフランスの政局不安もありましたが株安に行きました。

https://sekai-kabuka.com

為替レート

声明文が発表されると予想よりハト派的だと受け止められ円安に行きました。
しかし、総裁の会見が行われるとフランスの政局不安もありましたが円高に行きました。

https://sekai-kabuka.com

国債金利

声明文が発表されると予想よりハト派的だと受け止められ10年物国債金利は低下しました。
しかし、総裁の会見が行われると若干、金利は反発してきましたが会見終了後再び下落していきました。

https://sekai-kabuka.com

日本銀行と海外主要中銀との違い

金融政策をにそこそこ詳しい人は今回の国債買入れ額の減額について違和感を感じていると思います。
それは国債買入れ額の減額のニュースでテーパリングではなくQT(量的引き締め)という言葉が使われているところです。
FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)がオープンエンドの大規模な資産買入れを行いその後、国債買入れ額を減額していくときはQT(量的引き締め)ではなくテーパリングという言葉が使われていたと思います。
結論、なぜ今QT(量的引き締め)という言葉が使われているかと言うと日銀は国債の再投資をコミットメントしていないところです。
通常、オープンエンドの大規模な資産買入れを行った後はテーパリング(買入れ額減額)→短期金利の引き上げ→QT(BSの縮小)という流れで行われていきます。

金融政策の大転換:中央銀行の模索と課題
(田中 隆之著、2023年、慶應義塾大学出版会)

はじめのテーパリングのときにFRBやECBのように国債の再投資をコミットしている場合、新規の買入れ額がゼロになった時点で中央銀行のバランスシートは横ばいになります。
しかし、日本銀行は国債の再投資をコミットしてないため償還で落ちていく部分と新規で国債を買入れる額が一致した時点でバランスシートは横ばいになります。
現在、償還で落ちるのは約6兆円で新規の買入れも約6兆円です。

日本銀行の長期国債保有残高は2023年の秋ごろから横ばいになっているためこの頃には密かにテーパリングを完了させていたということになります。今の新規の国債買入れ額約6兆円から減額するということは日本銀行の保有する国債の残高が縮小することで日本銀行のバランスシートも縮小していきます。そのため、テーパリングではなくQT (量的引き締め)と言われているのです。
また、BOE(イングランド銀行)のように保有国債を市場売却するような積極的なバランスシートの縮小など金融政策的な色彩があるような場合はQT(量的引き締め)と呼んでもいいが日本銀行やFRBのように金融政策的な色彩を出さずに行っている場合はQT(量的引き締め)と呼ぶべきではないと言う人や大きな超過準備があるのならばQT(量的引き締め)と呼ぶべきではないという人もいます。

まとめ

今回は、2024年6月13、14日の金融政策決定会合について話しました。
円安との兼ね合いもあり金融政策決定会合後の会見では思ったよりタカ派的な発言がありました。
しかし、実際の動きとしては植田総裁らしく非常に慎重だったなと思いました。

これからも経済、物価、金融について話していきたいと思います。



〜顧問のつぶやき〜
金利関係のニュースを見ると、住宅ローン(変動金利)はどうなってしまうのか、気になって仕方がありません。

次の記事も楽しみにしています。

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