見出し画像

鳥取の海へ

人生でやってみたいことの一つが、サーフィンでした。

けれどもチャレンジする機会が全くありませんでした。
アウトドアは割と好きな方ですし、体を動かすことも好きでした。
スケボーやボディーボードを試したこともあります。
次女が生まれた頃は、一時期ウインドサーフィンもやっていました。
それらが続かなかったのは、忙しかったこともありますが、ハマるほど面白さを得られなかったことが第一の理由だったと思います。

50歳を目前にして、もう一度興味を持ったのは、ある大きな仕事のストレスの中で、ふと海のことを考えたからです。サーフボードに乗って海を楽しむ妄想で一時的に現実逃避をしていたと思います。
それからはサーフィンの動画を見たり、サーファーのファッションをチェックしたりしてエアサーファー気取りでした。「サーファー 髪型」という検索をして、その画像を床屋さんに見せて髪を切ってもらいました。床屋の話はまた続きがあります。

忙しかった仕事も無事終わり、それまでに連絡を取っていた岡山県北のサーフショップのスクールを利用して、鳥取の海に行くことになりました。県北では父親が一人暮らししているので、山陰で午前中サーフィンをして、帰りに寄ることもできるわけです。

そして3月8日の水曜日、サーフショップのオーナーと午前8時に現地で待ち合わせることになりました。数日前から気温も上がってきており、コンディションは悪くないとのこと。
岡山市の自宅から約2時間40分。ようやく待ち望んでいたサーフィンのデビューです。

海に入る直前

スクールはレンタル込みで6,000円。マンツーマンのレッスンです。
暖かくなってきたとはいえ、3月の山陰では真冬のウェットスーツが必要です。予めサイズを伝えており、まさにジャストサイズでした。ただ首周りのキツさだけが気になりましたが。

まずは陸でパドルのレッスンです。初心者なので浮力のあるロングボードを使います。そしていざ海へ!

パドルしにくいからということで手袋はつけず、素手で入りました。確かに冷たいですが、漕いでいると冷えはほとんどありませんでした。感じたのは水の硬さ。これまで海は夏に入っていたので、僕の手は海の水をなんとなく柔らかな、ねっとりとした感触として覚えていました。
けれどもこの時期の水は硬い。さらにはボードと水が触れる時の「パチンパチン」という音も新鮮でした。

「ではまずボードで上半身を上げた状態で波に乗ってみましょう。」
そう言って良さげな波が来た時、オーナーは僕のボードを押してくれました。するとす〜っと波に乗って、随分と進みました。昔ボディーボードに乗っていた感覚を思い出しました。

何度か上半身を上げた状態で乗りましたが、ボードが下を向いて、水中に投げ出されたりしました。遠くを見ることが大切なんだそうです。

しかし、何度か転覆を繰り返していると、すっかり船酔いした気分になりました。また首が締め付けられていたのも苦しい原因となりました。更に便意も催してきました。小ではなく、大です。ショップのオーナーは「トイレもそのままウェットスーツ内にしていいですからね〜」と言ってくれましたが、さすがに借り物のスーツに大は出来ない。「波乗り楽しい〜」なんて気分にはならず、上か下かどちらかから何かが出そうでした。

「一度陸に上がってボードの上に立つレクチャーをしましょう」と言われ、陸に上がると、吐き気と便意から少し開放されました。

休憩後、ボードに立つため再び海へ。体力には自信がありますが、酔いと首絞めからなかなか本来の動きが出せません。昔家族でスキーに行って、全く出来なかったことを思い出しました。出来ない悔しさより、早く時間が経たないかな・・・と思っていました。

そんな僕を見てオーナーは沖では難しいと思ったのか、足がつく場所で、ボードの上に立つ練習に切り替えてくれました。すると1,2回はボードの上に立つことが出来ましたが、「やった!」という感動ではなく、しんどさの果てになんか立っている、ぐらいの感覚でした。

開始して3時間が経ち、オーナーはショップの開店時間があるため、レッスンは終了となりました。道具はこのまま貸すので、夕方までに持ってきてくれれば良いとのことでした。

周りにいた先輩サーファーはほぼ全員午前中で切り上げて三々五々に散っていきました。中にはスーツに着替え、これから仕事なんですという強者も。

一人になり、何度かポイントを移動して、チャレンジしてみましたが、なかなかうまく出来ません。決して大きな波ではありませんが、太刀打ちが出来ないんです。少し沖に出て、戻されては休むといった繰り返しでした。
結局一人で1時間半ほど練習して、終了しました。

初めてのサーフィンを通して、感じたことは、「状況を見る」ことの大切さです。波に乗るためには、自分がどの波のサイズに乗れるのか、それが一体どんなもので、いつ頃やってくるのか?という状況を知ることです。
これまで、仕事やスポーツ、人間関係など、何かしら自分がアクションすれば、変化が起きていました。正確に言うと変化が起こっているものと自分が感じていました。でもそれは自分中心で考えていただけだったかも。
限りある体力の中で、パフォーマンスを発揮するためには、状況を見極めて、いかに自分が乗れる波が来たときに、タイミングをあわせられるかが重要ということです。最低限の力は必要ですが、それを待つ持久力のほうが大切だと思いました。

またどんなに頑張っていても、かなわない、出来ない壁というのは存在するのだと感じました。「自然の驚異」というと簡単にまとめた感じがあるので使いたくないのですが、かなわないものがあるんだと素直に思いました。

そしてもう一つ。有名なサーファーが言ったことかもしれませんが、波の乗れなかったら次の波に乗ればよいと思いました。失敗が許される世界。今回得られた唯一の前向きな教訓だったかもしれません。

たかだか半日行ったサーフィンですが、技術以外のことを勉強させてもらいました。他には、サーフィンしている時は、マインドフルネスでしたね。吐き気や便意もあり、頭はからっぽになりました。

もう一度やるかって? どうしようかな。

この記事が参加している募集

#私のストレス解消法

11,725件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?