見出し画像

母の日によせて(母の日がつらい人のために)

母の日が近づいているのは知っていた。世にあふれる母の日のキャッチコピーやなんかは極力見ないようにしていた。私は母と没交渉で、一般的な「母の愛」の概念は私のトラウマを刺激する。

母親と一見良好な関係を築いている人であっても、母親に対してモヤモヤする気持ちを抱える人はいるだろうし、私のように母親との関係が理想的とは言い難い人は世の中に山ほどいるだろう。

そんな我々は母の日という「Not for me」な記念日をどのように乗り越えるべきなのだろうか。結論から言うと、この社会的な催しを無視すべきである。そもそも母の日は我々のための記念日ではないのだから、気にする必要はない。母の日は恋人のいない人のためのバレンタイン・デーやスポーツをしない人のための体育の日のようなものだ。自分に関係ない記念日は流していい。

だいたい、母であるというだけで無条件に愛されるなんて傲慢だ。母子関係も人間関係である。人間関係には相性や巡り合わせやトラブルがつきものだ。良好でない人間関係があるのはしょうがないし、それが母子間で起こる場合もあるだろう。だから、母と理想的な関係を築けていないことで悲しくなったり自責的になったりしなくてもいい。そういうこともあるさ、というやつである。

一般的な母子関係をくさす意図は全くないし、母親になった友人たちが子どもから日頃の感謝を示されている様子を微笑ましく眺めるくらいの心の余裕はある。ただ、私自身の母の日を迎えるにあたっての心の揺らぎは、私だけのものではないことを私は知っている。屈託なく自分の母親を愛したかったという寂しさを覚える人に向けて、あなただけじゃないよ、と言いたくてこの文章を書いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?