わかりやすい!中医学の基礎Vo.8
それでは、中医学の思想である『陰陽・五行』について学んでいきましょう。
陰陽について
「陰陽(いんよう)」は、荘子の観念(黄帝内経が生まれた当時に活躍した思想家)として誕生しました。
陰陽の定義
陰陽の定義は
「宇宙の一切の事物や現象を、相対的に陰と陽という大きな属、対立と統一の元に説明したもの」で、中国の古い哲学思想である「陰陽論」に基づくもものです。
「陰陽」は、中国古代の思想で、天地間にあり、互いに対立し依存し合いながら万物を形成しているとされています。
陰陽を象徴する対極図
陰陽の特徴
その特徴を大まかにいうと、
●全ては相対的である
●絶対的価値観を否定している
●善悪・病気と健康・有と無・存在と非存在も全て同等の価値がある
というものです。
それでは、詳しくみていきましょう。
全ては相対的である
私たちが暮らしている地球、地球がある太陽系、果ては広大な宇宙までこの世に存在するありとあらゆるものの存在は、絶対的でなく相対的であるということです。
少し抽象的なので、もう少し具体的に考えてみましょう。
陰陽では、女性は陰、男性は陽として分類されます。
ただし、同じ男性であっても、比較する対象が、男の子とならどうなるでしょうか。
子供は、大人に比べて陽の性質が強いため、この場合には男の子が陽となり男性(大人)は陰として分類されます。
このように比較する対象によって、その陰陽の性質が変化することが「相対的」とされる所以です。
絶対的な価値観を否定している
宇宙に存在する全てのものは、ひとときたりとも静止している状態はなく、常に大きなゆらぎの中で存在していると考えて、その絶対的な存在を否定しています。
私たち自身を考えてみても、一瞬たりとも同じ時間に止まっていることはできません。
目に見えない、体で感じない一瞬でさえも、絶対的に存在しているものではなく次の瞬間には新しい場面を迎え、次のステージに移行しているのです。
全てに同等の価値がある
陰陽に優劣はなく、「善と悪」・「病気と健康」・「有と無」・「存在と非存在」も同等の価値があると説いています。
このことは、ご自身で理解・納得するまでには時間がかかるものかもしれません。
病気は悪で、健康は善とする考え方自体が間違っている、この世に起こる全てのことは同等の価値があり大きなゆらぎの中では、『全てがあってよし』 ということなのでしょう。
このことを深く考える上でおすすめの本は、鍼灸師で多くの教育・臨床・研究に携われている形井秀一先生の「からだの声を聞く」です。
陰陽の性質
✔︎陰陽可分性:全てのものは陰陽に分けることができる
あらゆるものが『陰と『陽』に分けられます。
例えば、日・春・南・男などは陽、月・秋・北・女などは陰に分類されています。
✔︎ 無限可能性:一旦分けると、さらに細かく陰陽に分けることができる
例 磁石(切ったらまた陰陽が現れる)
✔︎相対性 相手によって陰陽が変わる
例 女の子 相手が男の子なら陰 相手が成人なら 陽
陰陽の概念は、臨床的に症状を見る上では特に重要ではありませんが、そのような考え方を基に中医学が編纂されていったということは、私たちが健康を考える上ではとても意味があると感じています。
今の状態は、普遍的なものではなく私たちの人生の一瞬に過ぎない。そして、その不調や病気を抱えている一瞬でさえも、比較する対象によっては幸運でありさえする。
私たちの体は陰と陽のゆらぎの中で、その時に一番しっくりくる状態を模索しながら常に次のステージに向かっているのですね。
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