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わかりやすい!中医学の基礎 Vo.18〜六淫が体内で起こる場合〜

Vo、17では、病気になる原因についてご紹介いたしました。

六淫の風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪のうち、熱中症に代表される『暑邪』が原因となる病態は、外の環境(炎天下での運動・エアコンが効いていない部屋に長時間いるなど)によるものですが、

他の5つは、からだの『気血津液』の過不足や熱を作るはたらきの不足によってからだの中に原因があることがあります。

今回は、からだの内側の原因から起こる5つの病邪についてご紹介致します。

1 『内風』

体の内側に風邪がある場合には、五臓のうち『肝』と密接に関係しています。
『肝』の気血水を伸びやかにスムーズに動かすというはたらきが低下してしまうと、温められた気が滞ってしまい、上部に『風』が生まれるという考え方です。

体の内側に原因がある場合の風邪は、『内風』と呼ばれています。

具体的な症状は、
イライラ・神経興奮・不眠・めまい・しびれ・けいれん・突然の昏倒・脳卒中・顔面神経麻痺 などです。

内風が起こる原因としては、

①肝血の不足 
②陰に対して陽気が盛んとなった(この病態は肝陽上亢と呼ばれています)
③体内の熱が極まって内風が生まれた(西洋医学でいう、てんかんや髄膜炎などでありこの場合には西洋医学での対応となります)
④肝陽化風(肝陽上亢からさらに進んだ病態で脳卒中に該当します。この場合にも西洋医学的な対応となります)

漢方薬で対応できるのは、『肝陽上亢』までです。

具体的には、 ぐらいが漢方薬の治療に適応すると考えておきましょう。



2 体の内側に原因がある場合の寒邪=『内寒』



内寒は、もともと体を温める力が弱く、内臓が冷えている方が、冬場などに冷えた外気に当たってしまい、より一層内側の冷えが強くなってしまって起こります。

根本的に、体を温める陽気が不足している状態であるため、強い冷えを感じ、めぐりが悪くなっているためむくみや足腰の冷え、軟便などがみられます。

3 内湿



内湿は、『脾』の消化・運搬機能と密接に関係しています。
『脾』の消化・運搬のはたらきが低下した状態だと、湿が体に溜まりやすい状態となります。

ここに、梅雨時期や湿度の高い環境が合わさると、より一層『脾』のはたらきが低下して、体内に湿が溜まってしまいます。

具体的には、むくみ・頭の重だるさ・関節痛などが起こります。

内湿がある場合には、まずは脾のはたらきをサポートする漢方薬を用います。

4 内燥

内燥の原因となるのは、からだを潤す『陰液』の不足です。

陰液が不足すると、潤いがなくなり粘膜の乾燥による喉や口の乾き・皮膚の乾燥・コロコロした便 などがみられます。

陰液の乾燥がひどくなると、滋養できないために熱が生まれ、
のぼせや火照り、不眠などの熱の症状が起こることがあります。

5 内火


内火が起こる原因には、陰液の不足が進んで、熱が生まれ、熱症状がひどくなった場合と、陽気が昂ってしまうことによるものの2種類があります。

陰液不足による場合には、疲れや手足のほてり・口や喉が乾燥して話しにくいなどの症状がみられます。

実熱では、精神不安が起こることが多いのが特徴で、
不眠 多夢 顔面紅潮 イライラ 口渇 胸が熱く感じる 口内炎など、体内の熱が強くなった症状がみられます。

まとめ



内邪
内風
内寒
内湿


内燥
内火



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