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わかりやすい!中医学の基礎 Vo.21〜『気』のトラブル2 『気滞』〜

 『気』は、主に肝の疏泄作用(スムーズに流れを作るはたらき)によって体のすみずみまでめぐらされます。

気の流れを正常に保つために必要な肝のはたらきにトラブルが起こると、気の流れがスムーズにめぐらす

「気滞」という状態がおこります。


肝は、五行で木、季節では春との関連が深いため、特に春に調子が悪くなることが多いとされます。

五月病などの心身の不調も、この肝と深い関わりがあります。


春には、肝の「めぐらせる働き」をスムーズにするために、酸味のあるものを多く取るのも良いでしょう。


気滞を起こす原因


●緊張をうまくコントロールできない(自律神経失調の状態)
●食生活の不摂生
●睡眠不足
●外邪・外部環境    など


気滞の症状

✔︎ 些細なことでイライラしやすい
✔︎ 落ち込みやすい
✔︎ ストレスに弱くなる
✔︎  精神的な労作(気苦労など)によって悪化

 最近イライラするというなどの、精神的な変化だけではなく、炭酸飲料を飲みたくなる、ゲップが多くなるなどの体調変化でも、気の流れの状態が最近悪くなっているなということが確認できます。


気・血・津液は、お互いに影響しあってからだのリズムを整えているため、気滞によって気の流れが滞ると、血の流れや津液の流れまで悪くなり、瘀血や水毒(不要な場所に津液が溜まってしまう状態)を引き起こすことになります。


深呼吸で肝気がとどこおるを防ぐ



肝の気は肺の気によってコントロールされています。

           肺の気=呼吸 ですね。

深呼吸して、全てをからだの中に受け入れる姿勢は肝の気が暴走するのをコントロールすることができます
(からダニに必要以上にストレスがかかるのを抑えることができます)


こんな人は気滞になりやすい!

*きちんとしている事が正義

 - きちんとしていないと「許せない」という思いが強くなる
*正義感が強い

*呼吸が浅い

気滞の人は、呼吸が浅くなっていて、からだ全体が緊張しており、さらに気滞を招いてしまうことも多く見受けられます。

気滞の症状


気滞と滞りのある五臓との関係


気のめぐりをよくする代表的な生薬



香附子


香附子は、トリカブトとしても有名な猛毒がある『附子』の名前がついていますが全く別の植物です。
その根茎が、附子を小さくしたような形で芳香があるため、『香附子』と呼ばれています。

香附子


柴胡


柴胡は、中国からの輸入品もありますが静岡県の三島で栽培されている『三島柴胡』が最上級品とされています。
自律神経調整作用・抗炎症作用・抗アレルギー作用などを持つ生薬で、広く研究されている生薬です。



柴胡


蘇葉

生薬の蘇葉は、赤紫蘇の葉ですが、普段から食材として大葉を利用するのも良いでしょう。

蘇葉

陳皮



陳皮は馴染みの深い『温州みかんの皮』です。『陳』には古いという意味があり、古いものほどその効果が高くなると言われています。
食卓では、酸味のある柑橘系の果物を取り入れると良いでしょう。

陳皮

半夏


半夏

気のめぐりをよくする代表的な漢方薬


代表的な漢方薬には、次のようなものがあります。

特徴は、めぐりを良くして自律神経を整えるほとんどの漢方薬には『柴胡』が入っていることです。

生薬の成分に『柴胡』という文字があれば、自律神経を整えてめぐりを良くするのだなと覚えておきましょう。


●加味逍遙散:神経質でイライラしやすく、月経前に不調を感じる人
●香蘇散:胃腸虚弱で神経不安定を伴う感冒に
●柴胡加竜骨牡蠣湯:神経疲労が強くて、イライラと不安感とが同時にある人
●四逆散:イライラが止まらずに胃痛や腹痛を訴える人
●大柴胡湯:胃部周辺がはってイライラが強い人に


まとめ


気滞
気滞の症状
気滞と肝
気をめぐらせる

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