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withコロナの時代に:山間過疎地域の閉じっぷりと開き具合

5月15日現在の愛知県の山間部・北設楽郡東栄町で考えること。
昨日、愛知県は緊急事態宣言の対象地域から解除された。愛知県で人口減少率が1、2を争い現在人口約3100人、高齢率は愛知県で最も高く、町域の91%が山林・原野という山間の静かな町・東栄町では、数少ない営業施設がクローズされ、イベントや集まり事は中止されているものの、過疎であるがゆえ「密」になる割合が元々少ないため、暮らしぶりは普段とさほど変わらず。昨日の緊急事態宣言解除を受けても大きな変化もなく過ごしています。

コロナの影響が出て以来、当然東栄町を訪れる人は減り、自分もほとんど東栄町から出ることがなくなった。マルカイも3月末から閉め、代わりにネットショップを始めながら溜まっていた作業を進め、そしてこれみよがしに、というか時期であるため、ここ最近はひたすらお茶摘みと自家製紅茶作りの研究に勤しんでいる。
コロナに関してはネットのニュースに書かれている世の中の状況についてあまりに実感がなく、たまに連絡を取り合う人々から様子を聞いたりSNSを見たりして、世間の現実をできるだけ想像して感じてみようと努めている次第。

今年度から観光協会の一部業務を委託で受けお手伝いしている関係で、東栄町の観光事業の展開やイベント事の計画について、頻繁に打ち合わせを行う。
東栄町での暮らしにどっぷり浸かり、笑い、戸惑い、奔走し、しかし常に自然からパワーを貰って気持ちよく暮らしている自分であるが、東栄町民になってまだやっと2年。これまでずっと街に暮らし、できるだけ世界を見渡しながら大きな流れに呼応しつつ意思決定しようと(たぶん無意識のうちに)してきた自分に、この土地で代々暮らす人々が大半(自分は17代目などという人はざら)という歴史ある地・東栄町のことについてどうこう言える立場じゃないよなぁと思いつつ、それでも外部からの一人間の感覚や視点として数言えば多少何かは役に立つかもくらいの気持ちで関わらせてもらっています。

最初に書いたように、東栄町にはとにかくお年寄りが多い。とにかく若者が少ない。世間ではコロナの時代になって、withにしろafterにしろ、人の働き方や暮らし方は急激にシフトしつつあるが、前述したようにここでの暮らしは今この激動の時代ですら、学校や営業施設、外からの来訪者など以外の日常は"さほど"影響を受けず暮らしが継続しているのだ。さてこれは、果たして。
お年寄りが多いため、ここでは変化というものが少ない。今でさえ、インターネットなんて要らんわーとネットを引いている建物が少なく、ネットを引くにはバカ高い接続費を払わねばならないこの地域は、今回のこの機会にゴーゴーと変わっていく外の世界のシステムとまたさらに距離が生じ、何か「がたん」と段差がまたひとつ生じたような感覚を覚えている。
若者は少ないが、救いなのは、ひと握りの個性ある熱意のある発信者たちがいてくれて、彼ら彼女らがしっかり世間の動きの早い部分ともちゃんと繋がって東栄町を引っ張っていってくれている。そこの繋がりがなければ、東栄町は行政の補助金頼りの真に閉ざされた山間の秘境的地域になっていってしまうかもしれない。まぁもしそうなっても、それでも、東栄町は不思議な魅力のある場所であることには変わりはないのだろうけど。けれどこれ以上の人口過疎と若者不足となれば、それはいよいよ死活問題なわけで、猶予はない。そういった人材が人口構成に対して一握りだけいてくれるというこのギリギリのバランスが、これまでのように世間を気にせず山間にひっそり地に足つけて暮らす東栄町らしさを保ったまま、でもちゃんと外界とも繋がり発信していられるという、実は今のコロナの時代に合った閉じっぷりと開き具合のベストなバランスを既に形成しているのかもしれない。結果オーライ上等じゃんなのだ。

ここに来て2年が経ち。世の中まるで予想をしていなかった状況が日々展開していくが、この想像のつかない展開を山間過疎地域・東栄町で迎えている予定調和とは全く無関係な自分の今のこの人生、我ながら興味深く感じ、楽しみに思えるようになってきました。

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